2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591373
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
八田 耕太郎 Juntendo University, 医学部, 准教授 (90337915)
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Keywords | 医療・福祉 / ストレス / 脳・神経 / 臨床 |
Research Abstract |
目的:拘束ストレスによる生体異物惹起の肝障害の増悪が動物モデルで示唆されているため、身体拘束と薬剤性肝障害との関連性を検討する症例対照研究を実施した。 方法:2003年1月〜2006年12,月までの4年間に順天堂大学医学部附属順天堂医院メンタルクリニック病棟に入院した全患者について、身体拘束を受けた患者(拘束群)106名と受けなかった(非拘束群)528名との問の薬剤性肝障害の発生頻度や臨床的な特徴を後ろ向きに比較した。なお、研究実施について所属機関倫理委員会の承認を得た。 結果:拘束群と非拘束群との問に入院時の医学的状態の差異は認められなかったが、薬剤性肝障害の発生頻度は、拘束群が非拘束群より有意に高かった(8.5%vs.1.9%,オッズ比4.81,p=0.0016)。投与薬剤数について2群問に差は認められなかった。抗精神病薬投与を受けた割合は拘束群の方が大きかったが、抗うつ薬投与を受けた割合は非拘束群の方が大きかった。 考察:後ろ向きデザインという方法論的限界はあるが、本研究結果は、身体拘束が薬剤性肝障害の危険因子となる可能性を示唆している。本結果の意義は、自傷・他害の防止などに身体拘束を実施する場合も最小限にとどめる必要があることを、科学的に裏付けた点である。ただし、前向き研究による検証が必要である。
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