2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591373
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
八田 耕太郎 Juntendo University, 医学部, 准教授 (90337915)
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Keywords | 医療・福祉 / ストレス / 脳・神経 / 臨床 |
Research Abstract |
目的:救急・急性期医療における安全性向上のために、電気痙攣療法(ECT)の効果と安全性に関する前向き症例対照研究、および急性精神病状態の患者の生理学的異常に関する検討を行った。方法:ECT研究については、順天堂医院にてECTを受ける患者のうち研究へのICを得られた患者を対象とし、ECT効果、せん妄および呼吸循環系副作用の発生の有無、尿中カテコールアミン(ECT 1,4,7,10回目に測定)などを検討した。生理学的異常の検討についてはsympathetic, creatine-phosphokinase, hypokalemia, QT-interval, leukocytosis, dehydrationなどのキーワードを基に文献レビューした。結果:全体(n=30)では一定の傾向を見出すことはできなかったが、気分障害(n=12)では、ECT終了1週間後のドーパミンがECT前に比べて上昇する患者の方がHAM-Dを指標にした改善率は高く(p=0.040)、ECTを2回終了した後の尿中ノルアドレナリン(NA)の変化率(ECT中の値/ECT前の値)が0.9以上の患者の方が最終的なうつ病の改善率は高かった(p=0.0044)。一方、研究期間中、重篤な副作用は発生しなかった。生理学的異常の検討では、上記キーワードで検索された1,309の文献を検討した。考察:ECT研究の結果は、抗うつ作用におけるNA関与に関連する可能性があり、尿中NAの測定により、ECTの効果を予測できる可能性を示唆する。ただし、多数例での検証を要する。急性精神病状態の患者の生理学的異常は、脱水や交感神経系の過剰な活動亢進を背景にした高CK血症、低K血症とそれに伴うQT延長などの所見を主に比較的高頻度であり、薬物療法における副作用出現を助長させる危険性があるため、十分な配慮を要する.
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Research Products
(3 results)