2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス脆弱性モデルラットの情動記憶障害に対するクロザピンの薬理学的効果の解析
Project/Area Number |
19591376
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石郷岡 純 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (80142412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 健 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90365164)
|
Keywords | 統合失調症 / 恐怖条件づけ / ドパミン / 抗精神病薬 / 扁桃体 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
統合失調症患者はストレスへの脆弱性があり、情動不安定となる。ストレス耐性の獲得は、統合失調症患者の社会復帰に必須である。しかし、神経系のストレス応答機構への抗精神病薬の効果は未解明である。 われわれは、統合失調症の情動障害の治療に寄与するような基礎情報を得るために、独自のモデル動物を作成し、研究を続けている。これまで、メタンフェタミン慢性処理をした統合失調症のモデルラットが恐怖刺激に暴露されると、情動記憶の中枢である扁桃体でドパミンが過剰に放出されることを、微小透析と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の実験系で見出し、統合失調症の情動障害モデルを確立した。 本助成金により、以下のことを見出した。 上記モデルに対する抗精神病薬の効果を検証した。Haloperidolを単回投与したところ扁桃体ドパミンの基礎放出量は増加し、このとき恐怖刺激によるドパミンの過剰放出は抑制された。Aripiprazoleを単回投与したところ扁桃体ドパミンの基礎放出量は低下し、このとき恐怖刺激によるドパミンの過剰放出は抑制された。 次に、基礎放出量と恐怖反応の抑制との相関関係を検証するために、clozapineとhaloperidolとで用量比較実験を行った。薬剤による扁桃体ドパミンの基礎放出量の増加とドパミンの恐怖反応の抑制効果はともに用量依存性を示し、その効果はclozapineがhaloperidolより大きかった。これより、抗精神病薬の急性投与は、シナプス前部の種々の自己受容体に作用し、ドパミンの基礎放出量を上昇させ、恐怖に対するドパミン神経の即時的な反応を抑制する可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)