2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症におけるErbB4シグナリング経路の系統的遺伝子解析
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19591387
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
服部 栄治 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80399443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩山 佳美 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, リサーチアソシエイト (60399441)
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Keywords | ErbB4シグナリング / 統合失調症 / 双極性障害 / 髄鞘化 |
Research Abstract |
本研究は、ErbB4シグナリングの統合失調症への関与を遺伝子関連研究により検証しようとするものである。前回報告時に、日本人および中国人の家系サンプルについては、すでに384ウェルプレートに配置されており解析準備が完了していた。今回はさらに、日本人症例、対照サンプルが、それぞれ1,000人以上に達したため、これらにつき年齢と性を一致させた解析パネルを追加作成した。ErbB4シグナリングは髄鞘化にとくに深く関与している。我々はこの点に注目し、ERBB4遺伝子そのもの以外に、Nogoシグナリングに関する4遺伝子につき統合失調症との関連解析を行っている。これら遺伝子領域の50個の一塩基多型(tagSNPs)のジェノタイピングを完了し、現在、一塩基多型およびハプロタイプ関連につき解析中である。 さらに、統合失調症の有力な候補遺伝子DRD4のエクソン3に存在する繰り返し配列を、日本人サンプルを用いて詳細に調べ、既報の他人種データと比較して、自然淘汰が働いたとする従来の説に対して反証を試みた(Hattori et al.Eur J Hum Genet.in press)。 また、ERBB4シグナリングが、統合失調症と双極性障害の両方で障害されている可能性を考え、最近我々が完了した双極性障害の全ゲノム関連研究(Hattori et al.Am J Med Genet.in press)のデータを点検したところ、ERBB4,NRG1,NRG2,NRG3に関する遺伝子群のマーカーと双極性障害との間に関連の証拠を見いだせなかった。ただし、この双極性障害研究でのサンプルは小規模なものであり、また用いたマイクロアレイチップ(Affymetrix 100K GeneChip)も十分に高密度なものではなかったため、将来これらの問題が克服された際には、ErbB4シグナリングが統合失調症、双極性障害の両方に関与している可能性について再検討する必要があると考えている。
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Research Products
(12 results)