2008 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の治癒機転に重要な転写因子が制御するターゲット遺伝子の探索と機能評価
Project/Area Number |
19591390
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山田 美佐 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所・老人精神保健部, 研究員 (10384182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光彦 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 部長 (60240040)
高橋 弘 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 研究員 (20415582)
丸山 良亮 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 研究員 (70421831)
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Keywords | 抗うつ薬 / 転写因子 / 大脳皮質初代培養神経細胞 / 網羅的探索 |
Research Abstract |
これまで我々は、抗うつ薬の作用メカニズムに関連する脳内分子システムを解明するため、網羅的スクリーニングにより抗うつ薬投与後にラット脳内で発現量が特異的に変化する遺伝子を707種同定してきた(ADRG#1-707)。その中でADRG#701は、basic helix-loop-helix構造を有する転写因子Math2であることが明らかとなった。そこで本研究では、Math2が転写を制御するターゲット遺伝子を同定しその機能を解明することにより、これまでに数多く報告されている「CREB-BDNF-神経可塑的変化」仮説とは異なる新たな抗うつ薬の作用メカニズム仮説を提示することを目的とした。昨年度は、Math2を高発現した大脳皮質初代培養神経細胞を用いて、Math2により制御を受けるターゲット遺伝子の探索をGeneChip解析により試みた。その結果、Math2の過剰発現により発現変化する46遺伝子を下流遺伝子として得た。本年度はそのうち、E boxコンセンサス配列を有するPrg1に着目して検討を進めた。その結果、Math2がPrg1上流のE boxに直接的に結合すること、転写開始部位に最も近いE boxが転写に必要不可欠であることが明らかとなった。また、Math2またはPrg1を過剰発現したPC12細胞では、対照に比べ有意に神経様突起が伸長することが判明した。さらに、Prg1発現をsiRNAにより抑制した実験結果より、Math2過剰発現による神経様突起伸長がPrg1により制御されていることが明らかとなった。最終年度の次年度は、種々の抗うつ薬、他の中枢神経系作動薬等を投与したラット脳におけるMath2及びPrg1の発現を定量する。
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Research Products
(1 results)