2009 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の治癒機転に重要な転写因子が制御するターゲット遺伝子の探索と機能評価
Project/Area Number |
19591390
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山田 美佐 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所・老人精神保健部, 科研費研究員 (10384182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光彦 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 部長 (60240040)
高橋 弘 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 外来研究員 (20415582)
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Keywords | 抗うつ薬 / 転写因子 / 大脳皮質初代培養神経細胞 / 網羅的探索 |
Research Abstract |
これまで我々は、抗うつ薬の作用メカニズムに関連する脳内分子システムを解明するため、網羅的スクリーニングにより抗うつ薬投与後にラット脳内で発現量が特異的に変化する遺伝子を707種同定してきた(antidepressant related gene : ADRG#1-707)。その中でADRG#701は、basic helix-loop-helix構造を有する転写因子Math2であることが明らかとなった。そこで本研究では、Math2が転写を制御するターゲット遺伝子を同定しその機能を解明することにより、これまでに数多く報告されている「CREB-BDNF-神経可塑的変化」仮説とは異なる新たな抗うつ薬の作用メカニズム仮説を提示することを目的とした。これまでに、Math2の過剰発現により発現変化する46遺伝子を下流遺伝子として得た。本研究では、そのうちE boxコンセンサス配列を有するPrg1に着目して検討を進めた。最終年度である21年度は、薬物を投与したラット脳におけるMath2及びPrg1の発現をreal time RT-PCR法により定量した。抗うつ薬のsertraline、fluoxetineによるMath2及びPrg1の発現定量の結果、3週間投与により有意な発現増加が認められたが、1日または1週間投与では変化は認められなかった。このことは、抗うつ薬の臨床効果発現という時間経過との一致からも、抗うつ薬の作用発現メカニズムとの関連が示唆される。また、haloperidol、lithiumでは発現変化が認められなかったことから、Math2、Prg1発現変化は抗うつ薬特異的であることが示された。
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