2008 Fiscal Year Annual Research Report
Fynチロシンキナーゼ活性化を介する抗精神病薬の作用機序に関する精神薬理学的解析
Project/Area Number |
19591391
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
服部 功太郎 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所微細構造研究部, 室長 (50415569)
|
Keywords | 抗精神病薬 / 統合失調症 / Fynチロシンキナーゼ / ドーパミンD2受容体 / NMDA受容体 / シグナル伝達 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は「1.抗精神病薬によるFyn活性化の精神薬理学的意義と、2.細胞内情報伝達系を介した抗精神病薬の作用メカニズムを明らかにすること」であった。1.に関しては実施計画の通りの解析を行い論文にまとめることができた(投稿中)。また2.に関しては、新たな知見は得られたものの、さらに解析を要する段階である。3.一方、研究の過程で統合失調症にかかわる新たなFynシグナルの異常が明らかになった。 1.研究実施計画にあった「D2-R拮抗薬によるFyn活性化の時空間的評価」,「第2世代抗精神病薬投与によるFyn活性化の解析」を行い、第1世代、第2世代両者の抗精神病薬が、いずれも側坐核・帯状回皮質など統合失調症の症状と関連の深い脳部位でFynを活性化させること、錐体外路系副作用にかかわる外側線条体では、抗精神病薬の種類により異なる反応性を示すことが判明した。それらの成果は現在投稿中である。 2.本年度「Spectrin,hnRNPのFynによるリン酸化の解析」を行う計画であったが、解析を進めていくとこれらの分子はFynの基質として主要なものではないことが判明した。2次元電気泳動、タンパク精製法の改善により、新たに主要な基質を2つ同定することができた。リン酸化部位特異抗体により、その分子は抗精神病薬によりFynを介して活性化することが判明した。現在、その機能解析を行っている。 3.臨床検体を用いたFynの解析により統合失調症においてFynの変異体の割合が増えていることが判明し、培養細胞による解析により、その変異体は通常のFynに対しドミナント・ネガティブ効果をもつことが判明した。それらの成果を論文としてまとめ、受理された。
|
Research Products
(2 results)