2007 Fiscal Year Annual Research Report
CGHアレイによる統合失調症リスク遺伝子の検索と機能解析
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19591392
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
尾関 祐二 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・疾病研究第三部, 室長 (90303768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
功刀 浩 神経研究所, 神経研究所・疾病研究第三部, 部長 (40234471)
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Keywords | 統合失調症 / 家族性圧脆弱性ニューロパチー / PMP22 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
本研究はCGHアレイによって統合失調症患者に特有な染色体構造異常を見出し、その異常により影響がでるタンパク質を検討、最終的にそのような異常が引き起こす生命科学現象を見出すことで、統合失調症の分子病態の解明から疾患の予防・治療法、創薬への情報を得ることを目的としている。 これまでにCGHアレイにより17p11部分に1.4Mbの欠失がある統合失調症患者を見出した。この部分にはPMP22がコードされており、定量的PCR法にてこの遺伝子数が1コピーに半減していることを確認した。PMP22はシュワン細胞に発現し、末梢神経の髄鞘形成に重要な役をなしている。遺伝子数が1コピーに減少すると遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)を発症し、3コピーになるとシャルコ-マリートゥース病を発症する。PMP22は中枢神経のオリゴデンドロサイトにも発現している。脳画像研究や脳組織学的研究は統合失調症患者でオリゴデンドロサイトの異常を予測しており、統合失調症患者の死後脳を対象とした遺伝子発現アレイを用いた検討ではPMP22の発現量が低下していること報告されていることから、PMP22は注目すべき遺伝子であると考えた。その後この欠失は父親由来であることが明らかになったが、父親の精神機能、末梢神経機能に特に問題は無かった。患者本人も末梢神経検査で異常は無かった。しかし、PMP22が1コピーでもHNPPを発症しないことも珍しくなく、浸透率が低いことが知られているため矛盾はないものと考えた。父親の精神機能に問題がないことも同様の理由によると考えた。本症例の臨床症状等に関してはすでに論文として報告を行った。今後、関連解析による一般統合失調症患者でのPMP22の関与の検討、HNPP患者の精神状態の検討、遺伝子改変動物や神経細胞の初代培養系などによるPMP22コピー数減少の意味合いの検討などを予定している。
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Research Products
(1 results)