2008 Fiscal Year Annual Research Report
特発性REM睡眠行動障害のパーキンソン病初期病態の可能性に関する病態生理学的検討
Project/Area Number |
19591393
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
井上 雄一 Neuropsychiatric Research Institute, 研究部, センター長 (50213179)
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Keywords | REM睡眠行動障害 / 嗅覚 / RBDSQ / パーキンソン病 / 心筋MIBG / 多系統萎縮症 |
Research Abstract |
1.パーキンソン病(PD)と多系統萎縮症(MSA)経過中に、REM睡眠行動障害(RBD)が高頻度に合併することに注目し、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)でのREM without atonia(RWA)の定性に加えて、RBD症状の特徴ならびに経過について検討を加えた(PD;51例、MSA;16例)。その結果、PDでは、RBDがPDの運動症状発現前に先行しているケースはごくまれで、PD発症5年程度経過後より徐々に増加していることが明らかになった。一方MSAでは、運動症状発現前後にMSAが多発するが、経過中に有症状者が減少していくことが明らかになった。また、RBD症状を有する症例では、夜間幻視症状を持つ症例が多いことがわかった。 2.特発性RBD(i-RBD)が、PDの先行症状になる可能性があることに注目し、i-RBDがPDと同様嗅覚低下を示すかという点について日本版嗅覚検査を用いて検討した。その結果、先に報告した心筋MIBGほど高い異常所見検出率ではないが、i-RBDではその70%程度で境界域以下の異常値が出現することが確認された。 3.ドイツで開発されたRBD検出用質問紙(RBDSQ)が、日本人でのi-RBDスクリーニングに有用であるか否かについて、日本版作成の上、妥当性、有用性について評価した。その結果、原版と同様のカットオフ値(7点)が、RBD診断のカットオフになりうることを明らかにした。 4.PDでのRBDについて、心筋MIBGでの取り込み(H/M比)を調べ、RBDの無いPDならびに、認知症症状を呈しているPD患者(PDDでのそれと比較した。その結果、RBDを有するPDでのH/M比は、RBDの無いPDより著しく低く、PDDでのそれと同水準であった。これより、RBDでのPDがPDDへの発展につながる可能性が示唆された。
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