2008 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた冠血管内皮機能評価方法の確立に関する研究
Project/Area Number |
19591395
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 恵一郎 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任講師 (30435961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 剣一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任講師 (60364254)
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Keywords | PET / 血管内皮機能 / 心筋血流 / 冠危険因子 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
第1の研究目的はポジトロン断層撮像法(PET)を用い、心筋組織あたりの心筋血流量を定量評価する方法を確立することである。血管内皮機能障害は動脈硬化進展の過程において最も早期に出現する異常といわれている。PETによる心筋血流評価に寒冷刺激負荷を応用し冠血管内皮機能の計測法の確立を目指した。第2の目的はPETによる本計測法を冠血管動脈硬化危険因子保持者のリスク評価へ応用しかつリスク是正の効果を評価しうる指標となりうるか検討すること。 健常者9名を対象に安静および寒冷刺激時の心筋血流量を酸素15標識水で計測した。心筋血流量の定量計測はシングルコンパートメントモデル解析で実施した。心筋血流量は寒冷刺激時に有意な増加を示した(0.699±0.13 to 0.986±0.21mL/g/min, P=0.0078). 喫煙者10例では寒冷刺激時に心筋血流量の増加を認めなかった(0.859±0.18 to 0.88±0.21mL/g/min, P=0.683)。喫煙者では心筋血流増加率は有意に低下していた(3.3±21.1% vs. 42.3±28.5%, P=0.0021)。よって心筋血流PETを用いることで早期の冠動脈硬化病変の検出が可能となった。従来までの計測法では非侵襲的に冠動脈の早期の動脈硬化性変化を定量的に評価することが不可能であった。PETを用いた計測法は非侵襲的であり単なるリスク評価にとどまらず治療介入の評価に応用しうる優れた診断法になる可能性がある。そこでこの研究をさらに進め、喫煙者の禁煙後の改善評価へ応用した。喫煙歴の短い若年喫煙者に禁煙後1ヶ月で冠血管内皮機能の評価を行った。寒冷刺激時の血管抵抗は禁煙により有意に低下していた(P<0.01). この結果から本計測法はリスク是正の治療介入の効果を評価しうる指標となりうることが明らかになり、今後新たな治療薬の効果評価にも応用できる可能性がある。
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Research Products
(14 results)