2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所進行乳癌に対する術前化学療法の治療効果と病変進展範囲のMRIによる評価
Project/Area Number |
19591397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 隆之 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30302144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 孝宣 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70323011)
渡辺 みか 東北大学, 病院, 准教授 (20292344)
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Keywords | 放射線 / 病理学 / 癌 / 臨床 / 外科 |
Research Abstract |
最近、乳腺領域にMRスペクトロスコピー(MRS)を利用し、乳腺病変の良悪性の鑑別や術前化学療法の効果判定の予測に応用した報告が見られるようになってきた。当施設で3T-MRI装置が導入され、2007年5月より3T-MRI装置で撮像された乳房MRI連続240例の中から、46検査においてMRSが試みられた。癌病変に対するコリンピークの検出を目的に行われたもの17例、17検査。術前化学療法の前・後状態の評価を目的に施行されたものは、22例29検査であった。それらの病理学的診断は、浸潤性乳管癌43例、非浸潤性乳管癌2例、浸潤性小葉癌1例。MRSにてコリンピークの検出率は、20/46=43.5%であった。当初よりは改良されたものの、依然として3T-MRI装置でのコリンピーク検出には課題が残る形であった。癌病変に対するコリンピーク陽性(+)と陰性(-)の間に統計学的有意差があった所見として、サイズ((+):(-)=38.6±19.1mm:21.6mm±13.2mm)、病変が胸壁に近く存在する((+):(-)=20%:46%)があげられた。術前化学療法を行うことにより、コリンピークの検出率は57%から29%に減少した。しかし、いずれも腫瘍は残存しており、MRSは腫瘍の残存の有無すなわち病変進展範囲の判断に使用するのは困難と考えられた。やはり、術前化学療法後でも、コリンピークの検出率に影響を与える因子は、病変のサイズ(化学療法前:後=43.6±16.9mm:26.3mm±15.0mm)であった。以上から、3T-MRI装置におけるMRSの意義としてMRSのコリンピークの検出率は、まだ向上させる必要のある段階で、病変のサイズ・位置がピークの検出に影響を与える。さらに、MRSは腫瘍の治療効果を反映するが、残存の有無の判断すなわち病変進展範囲の判断に使用するのは困難と考えられた。
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