Research Abstract |
単純CTは,汎用性と迅速性に優れているため,救急施設では第一選択の画像検査として用いられている.また,過去十年間,血栓溶解療法の普及に伴い,単純CTにおける急性期脳梗塞の早期虚血サインが大きく注目されてきた.早期虚血サインは,発症早期に淡い脳実質の低吸収域として現れ,血栓溶解療法の適用の判断に用いられる.しかし,わずかなCT値の変化として現れる低吸収域を検出することは困難であり,医師の読影経験と知識がその検出に影響すると言われている.したがって,急性期脳梗塞の診断では,CT画像における早期虚血サインの検出精度の向上が望まれている.早期虚血サインの検出精度を向上させる方法として,画像処理による早期虚血サインの描出能の改善が挙げられる.いままで我々は,ノイズ低減フィルタを開発し,CT画像に適用した結果,早期虚血サインの描出能を改善できる可能性を示した. 本研究では,Z-score法を提案しCADシステムの検出能力の向上を図る.正常データベースとして,脳梗塞の認められない正常な30例の脳CT画像を用いた.本研究では,16例の低吸収域を含む患者を用いて視覚評価を行った.視覚評価の結果,本手法による低吸収域の検出感度は79.4%で,そのときの偽陽性は一画像あたり0.56個であった.実験の結果は,画像統計解析を用いた本手法が,急性期脳梗塞の低吸収域の描出を改善することができることを示唆した.
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