2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症及びストレス性精神疾患の進行・治療指針予測を可能にするイメージング剤の開発
Project/Area Number |
19591405
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水上 勇治 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (60110540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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Keywords | 認知症 / ストレス性精神神経障害 / シグマ受容体 / SPECT / 分子イメージング / PET |
Research Abstract |
シグマ受容体は学習/記憶メカニズムと密接に関係があり、大脳皮質前頭葉や海馬においてアセチルコリンの遊離を促進し、学習/記憶障害がシグマ受容体の活性化によって改善することが知られている。そこで、シグマ受容体分子イメージング剤を開発することにより、アルツハイマー病を含む認知症や種々の精神神経疾患の進行度(重症度)が把握できるとともに治療指針を決定するための情報が得られることが期待される。昨年度までに、我々は(+)-[^<125>I]pIVがラット脳内に高い集積を示すとともに脳内の高い集積はシグマ受容体に選択的に結合した結果であることがわかった。しかし、比放射能の違いにより、脳への集積性及び選択的結合性に変化が見られた。そこで、本年度は、高比放射能(+)-[^<125>I]pIV及び低比放射能(+)-[^<125>I]pIVを標識合成し、血中安定性、血液及び組織中の代謝安定性、代謝分解物の同定等を調べ、比放射能の違いによる脳集積性・選択性の違いの原因を調べた。その結果、高比放射能(+)-[^<125>I]pIVは赤血球及び血清淡白に結合している割合が低比放射能(+)-[^<125>I]pIVより高く、そのため、脳への集積率が若干低下した。しかし、インビボでの脳集積の比特異的結合割合は低く、脳内シグマ受容体に選択的に結合していることがわかった。次にポジトロン核種(^<11>C)標識(+)-[^<11>C]PMVの標識合成し、(+)-[^<125>I]pIVと同様の実験を行った結果、(+)-[^<125>I]pIVと同様の高いシグマ受容体親和性及びインビボでの高い脳集積及びシグマ受容体への高い結合選択性を示した。以上のことより、SPECT及びPET用のシグマ受容体分子イメージング剤を合成することができ、認知症やストレス性精神神経障害の重症度及び治療指針を決定する情報を提供できるツールとなり得ると考えられる。
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