2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線技師に対する胸部画像教育の標準化と確立を目指して
Project/Area Number |
19591407
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 春海 University of Fukui, 特任教授 (40026943)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東村 亨治 福井大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80422674)
山口 功 福井大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (00401951)
坂井 豊彦 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (40283189)
|
Keywords | 胸部X線写真 / 放射線技師教育 / 骨標本 / 肺標本 / 教育内容の標準化 / 肺実質 |
Research Abstract |
放射線技師に対する、胸部画像診断学教育に於いて、何が重要事項であるかについて、実際の技師教育を体験しながら明らかにした。以下に要点を記す。 【1】骨性胸郭:ディジタル胸部写真の普及に伴い、骨性胸郭は従来の胸部写真に比べて、格段に認識し易くなった領域である。椎骨と肋骨標本を参照しつつ、撮影体位とX線束の関係に配慮し、胸部写真を読影する機会を設けた。普段見慣れているはずの骨影について、新たな発見を幾つもしたという感想が多かった。この感想は経験を積んだ放射線科医においても同様であった。特に上胸部における第1、第2肋骨、第1、第2胸椎横突起の重なりとその画像での見え方について明快な解答が得られたことに対する評価が大きかった。 【2】肺実質:肺実質は、正常胸部X線写真上、肺血管にコントラストを付与する低吸収域で、取り立てて学習する領域とは思えないとする誤解がある。これは医師も同様である。そこで、肺標本の割面を実体顕微鏡にて、拡大観察する機会を、高校生、放射線技師、医学生、放射線科医に別々に設けた。その成果は予想を遥かに超えて大きかった。肺実質が、空気と軟部組織で精緻に織り成されている様子を目のあたりにして感動する様子が良く分かった。この教育セッションを通して、放射線技師が、胸部写真の肺野で最も目立っ構造と認識する肺血管が、標本上では肺容量の1割しか占めないことを知り、影絵と実体の乖離を乗り越え、生涯に亘って、医学を勉強する動機を得たものと思われる。 【3】骨性胸郭+肺実質:以上の教育を経た人々に胸部写真上で、骨性胸郭を理解し、次にそれを正しく透かせて、肺実質の外縁をトレースする実習を課した。特に肺尖、縦隔側、横隔膜下の肺野についての理解を求めた。この時点で割を入れる前の肺標本を参照させると、実物と胸部写真の対応が良く理解出来たとする感想が多かった。 【4】まとめ:骨標本、肺標本と胸部写真の比較検討は、放射線技師教育に極めて有用であった。
|
Research Products
(3 results)