2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射線技師に対する胸部画像教育の標準化と確立を目指して
Project/Area Number |
19591407
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 春海 University of Fukui, 特任教授 (40026943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東村 亨治 福井大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80422674)
坂井 豊彦 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (40283189)
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Keywords | 胸部エックス線写真 / Mr.Chest / 放射線技師教育 / 解剖学 / 画像医学教育 / 放射線医学 |
Research Abstract |
放射線技師等を対象とした胸部画像教育の手段として、Mr.Chestを開発し、それを教育現場で紹介した結果、顕著な教育的効果が確認できたので、それらの概要を報告する。 【1】Mr.Chest:21名の正常胸部写真で描出された、骨性胸郭、気道、縦隔、胸壁、肺野等の主な構造について、それらの幅と長さ、各部間距離、代表的標識構造との水準差、を実測して平均値を求めた。計測値は絶対値のみならず、体格の違いを考慮して数値の比も重視した。得られた数値を参考に、描画手順を61ステップに分け、方眼紙上にそれぞれの構造を手書した。計測と意味付けの進化に伴い、Mr.Chestの内容は過去1年半の間で計11回改訂された。計測に際して、エックス線写真に描出された構造の本態を知るために、肺と骨標本の観察は必須であった。この間に、今まで見逃されてきた幾つかの重要所見が発見出来た。さらに6種類の和文及び英文解剖書を参考としたが、この作業は基礎医学的内容が臨床画像に転換されるステップを知る上で貴重な体験であり、教育内容の立案に役立った。 【2】Mr.Chestを用いた画像教育の実際:教育対象は放射線技師を中心に、初期及び後期研修医、医学生、放射線科専門医にまで広げた。主な教育現場は、福井大学医学部、放射線技術学会総会(2009年4月)、2箇所の研修指定病院(関西、関東)、全国労働衛生連合会講習会(2010年2月)である。教育手順は、Mr.Chestを常時参照させ、それの根拠となる標本像や解剖図、さらに異常を示す臨床画像を加える方法を取った。講義時間は最低でも一回に付き90分は必要であった。 【3】教育効果:Mr.Chest自身が画像所見の集合体であり、それを紐解くプロセスが受講者に強い学習の動機付けを与えることがアンケートから確認できた。この教育効果は放射線技師、放射線科医、内科医、医学生等の立場や、臨床経験の差に関係なく見られた。同時に、胸部エックス線写真でのみ教育する限界が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)