2007 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた腫瘍細胞密度を可視化する分子画像の開発と癌治療への応用
Project/Area Number |
19591409
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松島 秀 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70444297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀ノ定 保臣 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50161526)
惠良 聖一 岐阜大学, 大学院・医学系研究科 (30152002)
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Keywords | 分子画像 / 細胞密度画像 / MRI / 磁化移動効果 / 癌 / 早期診断 / 早期治療効果 / オミックス |
Research Abstract |
1.目的:本研究は,磁化移動効果を利用した交差緩和率(equivalent cross-relaxation rate(ECR))を画像化したMR画像法(ECR法)により,細胞密度を可視化する分子画像を開発するとともに,癌治療における応用を目的としたものである。 2.具体的内容:対象疾患は乳癌腋窩リンパ節転移である。腋窩リンパ節において,(1)ECR法の画像を構成し,定量的なパラメータであるECR値による腋窩リンパ節転移の評価。転移リンパ節のECR値は80%以下となり,ECR値の閾値を80%として癌転移の有無を評価することが可能であった。(2)リンパ節の細胞密度とECR値との相関性。正常リンパ節では小さな細胞が密に存在しているが,転移リンパ節は粗の状態へと変化している。ECR法はこのような組織・細胞の状態変化をECR値の低下として検出し,ECR値は細胞密度と相関した。 3.意義:(1)早期乳癌において,腋窩リンパ節転移の有無は予後および治療方針を決める上で重要である。本研究ではECR値を用い,乳がん腋窩リンパ節転移を評価した。ECR値により個々の腋窩リンパ節転移の評価をすることが可能であり,ECR法は腋窩リンパ節転移の有無を評価するとともに,腋窩廓清の適応評価および最適化に貢献すると考えられた。さらに,ECR値は生検不可能な部位におけるリンパ節転移の評価を可能とし,リンパ節転移の評価におけるECR法の有用性が示唆された。(2)ECR値は細胞密度と相関するとともに,リンパ節転移を組織・細胞の状態変化として検出し,形態・機能の変化が起こる前段階で転移を評価し得るパラメータである。 4.重要性:(1)ECR法は細胞密度を可視化する分子画像の一手法となり得る。(2)ECR法は癌の早期診断・早期治療効果判定に貢献する細胞密度画像であると考えられた。
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