2008 Fiscal Year Annual Research Report
サリドマイドの抗血管誘導効果に基づく多血肝細胞癌治療の可能性に関する実験的研究
Project/Area Number |
19591410
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹原 康雄 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 准教授 (70188217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
村松 克晃 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40397401)
馬場 聡 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (10242760)
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Keywords | サリドマイド / 肝細胞癌 / 肝硬変症 / 化学発癌 / VEGF / ラット / 磁気共鳴画像 / 血液プール造影剤 |
Research Abstract |
昨年度、雄性F344ラットへの化学発癌誘導を開始し、diethylnitrosoamine(DEN)投与2か月目のラットを準備した(肝臓は前癌状態ではあるが多血肝細胞癌はまだ誘導されていない状態)。今年度、誘導開始から3か月目、治療薬(サリドマイド)と偽薬(サリドマイドの溶媒)を投与開始してから1か月目に再度in-vivo MR撮影した(サリドマイド投与群は14匹、偽薬投与群15匹)。撮影は全身麻酔下で行われ、3テスラMR装置に表面コイルを併用。撮像シーケンスは3DVIBEで、造影前、造影後3時相にわたって撮影を反復した。Gd-DTPA (0.1mmol/kg)を尾静脈から急速静注し、生理的食塩水でフラッシュした。同様の撮影をGd-DTPAによる造影MRIから6時間後にデンドリマー型の血液プール造影剤(0.0125mmol/kg)を用いて行った。撮影終了後、麻酔薬過量投与の深麻酔下で、心臓採血を行い、死亡確認後、全肝臓を摘出し、10%フォルマリンによる固定後、包埋を行った後、全肝の切片を作製し、全スライスのH&E染色と、腫瘍部のみの免疫組織化学染色を行い、造影MR画像(MPR再構成により任意断面作製可能)とのスライス毎の比較ができるようにした。採血した検体は、質量分析でサリドマイドの血中濃度を定量した。その結果、投与群のサリドマイド血中濃度にはバラつきがあることがわかった(全血中1.4ng/ml〜375ng/ml)。造影3DVIBE第1相において、MRIの各断面上で濃染された領域を計測したところ、2群には有意差を認め(p<0.05)、さらに、治療群のサリドマイド血中濃度50ng/ml以上の群と偽薬群とを比較したところ、さらにその差は大きくなった(p<0.01)。光学顕微鏡での腫瘍組織の観察では、サリドマイド治療群では過形成結節に血管の誘導されていないものが目立つ印象であった。
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