2008 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド骨症の骨力学特性に関する骨量と骨質の解明
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19591425
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊東 昌子 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (10193517)
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Keywords | ステロイド骨症 / 骨梁構造 / 骨細胞 / コラーゲン架橋 / 骨強度 / 動物モデル |
Research Abstract |
ステロイドによる骨粗鬆症は、原発性骨粗鬆症と比較して、骨密度の低下の割に骨の強度が大きく損なわれることが知られており、その一因として骨質の劣化が考えられる。その研究に、動物モデルではヒトのメテロイド骨症の再現は困難であると指摘されており、さらに骨質は多面性を有しているため、同一標本を多方面より評価しなければ、骨質の全体像を把握することは困難である。ステロイド骨症における骨質の解明のために、手術時に得られたヒトのサンプルを用いて、多方面からの骨質解析をおこなった。 ステロイド骨症で大腿骨頭壊死のために手術を施行した6症例(女性5例、男性1例)において、摘出された大腿骨頭と頸部を対象とした。また対照として変形性股関節症例4例(女性3例、男性1例)、大腿骨頸部骨折症例(女性14例、男性2例)において、手術標本の解析結果は下記の通りである。 1)コラーゲン生理的架橋の減少ならびにAGEs架橋の軽度の減少が見られた。未熟架橋に対する成熟架橋の比(成熟度)は、正常であった。 2)骨細胞アポトーシスを示唆するempty lacunaeの増加を認めた。破骨細胞の増加は認めなかった。 3)大腿骨頸部骨折16症例(平均79歳)の手術標本と比較すると、BV/TV,Tb.N、連結性は高値Tb.Spは低値であった。高齢の骨折症例(78.1±32.1)よりも最大強度は低値(39.2±19.8)であった。 臨床の検討と平行して、ステロイド骨症の病態解明のためのモデルの作成を行った。具体的には、遺伝操作が可能なC57BL/B6マウスにおいて、プレドにゾロンのペレットを頚部に植え込み、3か月間ステロイドを徐放すると、マイクロCTによる骨量はほとんど変化ないものの、骨形態計測法によって、骨吸収の低下と骨形成の著明な抑制が認められ、ステロイド骨粗鬆症の患者で見られる骨代謝異常が再現された。
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[Journal Article] Coordination of PGC-lb and iron uptake in mitochondrial biogenesis and osteoclast activation2009
Author(s)
Kiyo-aki Ishii, Toshio Fumoto, Kazuhiro Iwai, Sunao Takeshita, Masako Ito, Nobuyuki Shimohata, Hiroyuki Aburatani, ShigeruT aketani, Christopher J Lelliott, Antonio Vidal-Puig, Kyoji Ikeda
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Journal Title
Nature Medicine (online March 2009)
Peer Reviewed
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