2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591441
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 浩義 Keio University, 医学部, 教授 (10213175)
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Keywords | 医療放射線 / 放射性廃水 / 陰イオン交換 / 濾紙膜 / 濃縮廃棄 / バイポーラー膜 / 放射線管理 / 吸着平衡 |
Research Abstract |
本研究課題では、核医学検査において排出され、その環境排出基準が厳しい放射性ヨウ素および放射性テクネチウムが水中において陰イオン性を呈することを利用して、(1)核医学被検査者が自ら使用できる携帯型尿濾過器の開発、および(2)隔膜電気浸透法を用いて、微電力においても分離処理可能な放射性廃水濃縮処理システムの開発を目的とした。この目的のために、使用後「放射性可燃廃棄物」として焼却処分可能な陰イオン交換濾紙膜を5種類および陰イオン交換基と陽イオン交換基を同等に分散させた両性イオン交換濾紙膜を新たに開発・製造した。本年度は診断に多用される放射性同位元素テクネチウム-99mの医療廃液を効率的に、また環境にやさしく処理するために、医療用放射性廃液の中からテクネチウム-99mだけを分離処理でき、焼却廃棄が可能で、陰イオン交換濾紙膜を用いた処理について研究を行った。本研究では特に、実際の処理で問題となるタンパク質とテクネチウム-99mとの結合に対して、酸処理効果についてテクネチウム-99mとアルブミン(HAS)系で検討を行った。その結果、陰イオン交換濾紙膜を透過しての99mTcO4・の拡散流束は、99mTcO4-のみを投入した場合、共存するNaC1の濃度勾配にも拘らず、投入した99mTc04-の濃度勾配に沿って、増加した。これにHSAを一緒に投入すると、HSAがない場合に比べて流束は約79%減少した。この状態において、この膜処理系全体に通電すると、99mTcO4-投入相のpHは4.2まで下がり、99mTcO4-流束は約56%回復した。これは、通常では99mTcO4-がHSAに結合ることによって、陰イオン交換濾紙膜の透過速度が減少するが、酸処理の適用により、HSAから99mTcO4-が解離し、分離が進むと考えられた。当初より予定していた(1)携帯型尿濾過器および(2)隔膜電気浸透式濃縮システムの開発に目処を付けることができた。
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Research Products
(3 results)