2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線と血流遮断剤で腫瘍内の抗癌剤AUCを増大する新規放射線化学療法の開発
Project/Area Number |
19591449
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 勝義 Tohoku University, 加齢医学研究所, 准教授 (00143032)
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Keywords | 放射線療法 / 抗癌剤 / 腫瘍血流遮断 / 治療効果増強 |
Research Abstract |
放射線照射後に腫瘍血流量が著明に増加し、それに伴って腫瘍微小循環機能が著しく亢進することを明らかにしてきた。本研究は、照射後のこの腫瘍微小循環の改善を利用して抗癌剤の腫瘍到達量を高め、引き続き、腫瘍血流を遮断して抗癌剤の腫瘍からの流出を遅らせることによって、抗癌剤の腫瘍内AUCを増大させようとするのがねらいである。今年度は透明窓内で吉田腹水癌LY80腫瘍が増殖している担癌ラットに対し、蛍光性抗癌剤のダウノマイシン、FITCデキストラン(分子量4000)、FITCアルブミシ、FITCミモルを静脈内投与し、それらの腫瘍組織への移行性を、直視下の生体顕微鏡システムで記録し、画像解折を行った。腫瘍内のlow-flow area、no-flowareaには、血中半減期の短いダウノマイシン、分子量4000のFITCデキストランはほとんど到達しなかった。これに対し、分子量が大きく血中半減期の長いFITCアルブミン、FITCミセルでは、low-flow areaにおいても時間と共に徐々に組織内濃度は上昇し、特に、腫瘍内の循環機能が低下した領域に蓄積する傾向があった。照射、あるいはテンジオテンシンIIによって腫瘍血流を増量させた時には、血中半減期の短い低分子薬剤の腫瘍への到達量が著しく増加し、引き続き行った腫瘍血流遮断により、組織内濃度の半減期は150-200%延長した。抗癌剤の腫瘍内AUCの増大は、通常の低分子抗癌剤で効果的に行うことが可能である。また、今年度の研究で、腫瘍血流量と組織内濃度を同時に計測できる装置を完成させた。20年度はこの装置を用いて両者の関係をさらに詳細に解析する予定である。
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