2008 Fiscal Year Annual Research Report
γ-H2AXリン酸化と未熟染色体損傷解析による放射線感受性試験の開発と臨床応用
Project/Area Number |
19591453
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宇野 隆 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (30302540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 久夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20095574)
川田 哲也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (60234077)
磯辺 公一 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (80334184)
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Keywords | γ-H2AX / 染色体異常 / FISH法 / 放射線感受性 / 未熟染色体凝集法 |
Research Abstract |
放射線治療において、放射線感受性の予測は、画一線量の治療から、感受性に応じた線量を投与する治療方法の開発につながりうることから、これまでも多くの方法が試みられてきたが、有効な試験は、いまだに開発されていない。γ-H2AXは放射線により誘発されるDNAの二本鎖切断を損傷早期から定量化することができること、また、染色体損傷は肉眼的に損傷を観察できることから、放射線感受性を損傷の程度から評価できることを期待して研究を行った。正常組織の感受性は繊維芽細胞、また、感受性の高い細胞としてAtaxia Telangiectasia、ナイヒーメン症候群の患者由来の繊維芽細胞を使用した。細胞に臨床で使用する線量の2Gy照射後にγ-H2AXの数を経時的に観察すると、時間とともに減少する傾向が見られた。また、染色体断片である欠失をギムザ染色および蛍光色素染色(fluorescence in situ hybridization)を用いて解析したところ、欠失の消失は同様に速やかに行われた。いずれの結果においても高感受性の細胞ほど残存する異常が多い傾向が見られたが、感受性の差を反映するような有意な差は指摘困難であった。 感受性を増強させることにより、有意な差をみることができるかを検討するために、ATM遺伝子抑制剤するカフェインを作用させて、照射後の染色体異常を解析したところ、放射線のみでは感受性に差がみられなかった正常細胞間にも細胞生存率、染色体損傷で有意な差がみられた。カフェイン10mMを照射前に作用させることにより6Gyの照射で生存率に10倍程度の差がえられ、染色体異常でも誤修復を意味する染色体交換が増加することを確認した。特にAtaxia Telangiectasiaのへてろ接合体の細胞では、有意に感受性の増感がみられ、カフェインと染色体損傷は放射線感受性をよそくする一つの方法となりうることが示唆された。また、重粒子線照射による染色体損傷解析も行い重粒子線治療における感受性の検討も現在検討を行っている。
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