2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌放射線感受性予測法としての未成熟染色体凝集法の改良に関する基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
19591454
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
笹井 啓資 Niigata University, 医歯学系, 教授 (20225858)
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Keywords | 放射線感受性 / 未成熟染色体凝集 / HVJ envelope / 染色体障害 |
Research Abstract |
放射線照射後の染色体障害と細胞の生存率の間に密接な関連がある。未成熟染色体凝集法(PCC:Premature Chromosome Condensation)により間期細胞の染色体障害を細胞を培養せず観察することが可能である。本方法の最大の弱点はPCCの収率で、この点が障害となって臨床応用に結びつかなかった。本研究では不活化センダイウイルスエンベロープ(HVJ-E)を用い、in vitroでヒト由来腫瘍細胞で高いPCC収率を得る条件を決定することを目的とした。 前年度で不活化HVJ-Eを用いたPCCの誘導条件を設定したが、安定的PCCの誘導を行うため、間期ヒト食道癌由来扁平上皮癌細胞に放射線(OGy、3Gy、6Gy、9Gy、12Gy)をin vitroで照射後、0時間および24時間後にMO期Hela細胞とHVJEを用いて細胞融合を形成し間期ヒト食道癌由来扁平上皮癌細胞にPCC誘導を行った。前年度と同様に高い収率でPCCが誘導でき、本方法の有用性が確認できた。 さらに蛍光in situ hybridaization法にて第4染色体を蛍光染色し、第4染色体断片数、転座、リング形成などの染色体障害を容易に観察できる状態とした。放射線照射後の第4染色体障害と細胞生存曲線と比較した。この結果は従来報告されている染色体障害と細胞生存率との関連から大きくずれていたが、染色体数で補正する方法を導入したところ、従来の報告と極めて一致する関係が得られた。 今後、種々の細胞に関して、本方法の有用性を検討する価値があると考えられた。
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