2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療の個別化に向けたDNA2重鎖切断修復に関わる蛋白質の研究
Project/Area Number |
19591462
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂田 耕一 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (10235153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 克 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10404716)
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Keywords | DNA-PK活性 / 染色体不安定性 / 発癌 |
Research Abstract |
目的:DNA-PKおよびNBS1はDNA二重鎖切断における修復やシグナル伝達において重要な役割を担うと考えられている。我々は健常者および放射線治療前の散発性乳癌患者から採取した末梢リンパ球を用いて、DNA-PK活性の測定、放射線誘発NBS1フォーカスの計測および染色体異常頻度の計測を行い、その関連や乳癌患者においては組織型、リンパ節転移との関係を調べた。 結果:ヒト末梢リンパ球の放射線誘発NBS1フォーカス数は照射後4時間でピークを示し、24時間後には徐々に低下した。照射後1時間目でNBS1フォーカス数が少ない群は、4,24時間後のフォーカス数も同様に低かった。喫煙や性別とNBS1フォーカス数との間に明らかな関係は見られなかった。 DNA-PK活性の高低によって3群に分け、NBS1フォーカス数との関係を調べると、DNA-PK活性が高い群ほどNBS1フォーカス数は少なくなり、逆相関の関係が見られた。 染色体異常との関係では、NBS1フォーカス数が多いほどexcess fragmentの頻度が高くなる傾向が見られた。 M059JとM059KのNBS1フォーカスを調べると、DNA-PK活性の欠損しているM059J細胞ではM059Kに比べて有意にNBS1フォーカスが多い事が分かった。 乳癌患者において、組織型・リンパ節転移の有無とNBS1フォーカスの関係を調べると、non-invasive ductal ca.よりもinvasive ductal ca.の方が、またリンパ節転移陰性例よりもリンパ節転移陽性例の方がNBS1フォーカス数が多い傾向が見られた。 考察・結論:放射線照射4,24時間後のNBS1フォーカスは早期に修復しきれなかったDNA二重鎖切断部に一致して集積していることが予想される。今回の検討ではDNA-PK活性が高い群ほど、残存するNBS1フォーカスは少ない傾向が示され、同様にM059JおよびKを用いた実験でも証明された。このことはDNA-PK活性が早期のDNA二重鎖切断の修復能に大きく関わっている事を示していると思われる。 またNBS1フォーカスが多いほど、染色体異常の頻度が高くなる傾向が見られた事から、NBS1フォーカスの計測によって染色体不安定性を予測することができるものと思われた。
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Research Products
(5 results)