2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線のCD80発現増強とアポトーシス制御因子へのプロテオーム解析
Project/Area Number |
19591466
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 文雄 Toho University, 医学部, 講師 (10130345)
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Keywords | 放射線 / シグナル伝達経路 / CD80 / superinduction / エタノール / NF-kB |
Research Abstract |
放射線照射が細胞内シグナル伝達系を活性化し、アポトーシス以外にも様々な生理活性を誘導することが知られている。事実、これまでに私達は抗原提示細胞への高線量率低線量の放射線照射が、抗原情報伝達を担うcostimulatory分子(CD8)の発現を促し免疫能が増強することを報告した(Immunology96:642-648,1999)。同様に、蛋白合成阻害剤CHXやエタノール等にもCD80発現増強が認められことを発見した(第31回日本免疫学会)。しかし、これらのCD80発現増強に対するシグナル伝達系阻害剤や処理腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導に、より多くの線量を必要とする放射線適応応答能に差が認められた。そこで今回私達は、エタノール(EtOH)や蛋白合成阻害剤サイクロヘキシミド(CHX)のsuperinductionを介するCD80発現増強と放射線抵抗性を示す放射線適応応答の成立機序を明らかにすることを目的とする。 これまでに放射線やCHX処理で53/56kD,42KD,90KD,110KDのリン酸化の亢進を発見した。特に53/56kDのリン酸化はチロシンキナーゼ感受性で、質量分析計の解析でチロシンキナーゼのLynであることを同定した。現在のキナーゼ酵素の働きを解析中である。この他にチロシンフォスファターゼ阻害剤に放射線やCHXと同じようにCD80発現増強作用がみられることを発見した。しかしこれまでの研究では、Lynの脱リン酸化を行うCD45の発現並びにそのチロシンフォスファターゼ活性は、これらの処理にてほとんど変化みられず現在その作用機序を解析中である。
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