2007 Fiscal Year Annual Research Report
制癌剤と放射線の併用によるアポトーシス誘導とギャップ結合の役割
Project/Area Number |
19591469
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
小川 貴彦 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学・分子疫学部, 来所研究員 (90399626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 奉権 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部・免疫学研究室, 室長 (70333549)
吾郷 里華 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 来所研究員 (00421917)
中地 敬 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 部長 (00142117)
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Keywords | 放射線 / 制癌剤 / HDAC阻害剤 / ギャップ結合 / アポトーシス / コネキシン / アセチル化ヒストン |
Research Abstract |
1.HDAC阻害剤(TSA、SAHA, FK228)を用い、個々の阻害剤が種々の細胞のアポトーシスおよびGJIC機能の誘導にどのような作用を及ぼすかについて、正常なヒト腹膜中皮細胞(HPMC)、ras遺伝子を形質導入し、GJIC機能が阻害された正常ラット肝細胞(WB-ras)、およびヒトの乳がん細胞(MCF-7、T47D)を用いて検討した。その結果、TSAは低い濃度でHPMCにおいてアポトーシスを誘発したが、SAHAおよびFK228はアポトーシスを誘発せずGJIC機能を亢進させた。一方、WB-ras、MCF-7およびT47DにTSA、SAHAおよびFK228を投与した場合、アポトーシスが誘導されたがGJIC機能の顕著な亢進は観察されなかった。SAHAおよびFK228を投与したHPMCでは、クロマチン分画におけるアセチル化ヒストンの量はSAHA濃度およびFK228濃度に伴い増加した。アセチル化ヒストン抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)法により得られたDNA画分においてCx43遺伝子のDNAが検出され、Cx43DNA量はSAHA濃度およびFK228濃度に伴い増加した。以上のことから、低濃度のSAHAおよびFK228はがん細胞においてアポトーシスを誘発する一方、正常細胞のアポトーシスを誘発することなく、Cx43遺伝子にエピジェネテイックな影響を及ぼすことによりGJIC機能を亢進させ、細胞の恒常性の維持に積極的に貢献していることが明らかとなり、GJICが抗がん剤応答性に重要な役割を果たすことが示唆された。 2.正常ラット肝細胞(Cx43発現)、癌遺伝子(ras, myc, src, neu)導入細胞の放射線応答性の違いを調べた。GJIC+のWB細胞に比較してGJIC-の癌遺伝子導入細胞(WB-ras,-myc,-src,-neu)はいずれも放射線抵抗性であった。
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