2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織における炎症反応制御を目的とした新しい分子標的免疫療法の開発
Project/Area Number |
19591493
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩橋 誠 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (70244738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10322372)
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80364090)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30398458)
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Keywords | 癌 / 外科 / 免疫 / 遺伝子 / サイトカイン |
Research Abstract |
【目的】本研究はヒト癌組織において、IL-23により誘導されるIL-17を中心とする炎症反応と免疫応答との関連を検討し、その制御を行うことにより進行消化器癌の癌免疫療法の有効性を高めることを目的とした。【対象と方法】当科にて手術を施行した胃癌82症例を対象に正常および腫瘍組織よりTotal RNAを抽出した。Light Cyclerを用いてIL-17mRNA,IL-21mRNA,IL-23mRNA,GAPDH mRNAの発現をreal-time RT-PCR法により定量した。定量に際しては人工RNAを作製し、これを標準としコピー数で定量し、GAPDHとの発現比にて解析した。病理組織標本においてCD34陽性細胞数、好中球浸潤数を画像解析ソフトにて定量的に評価した。【結果】IL-17mRNA,IL-21mRNA,IL-23mRNAの発現は正常組織に比して腫瘍組織で有意に高発現であった(p<0.0005)。また、腫瘍局所におけるIL-17mRNAの発現はIL-23mRNAの発現と相関関係を認める(r=0.415,p<0.0005)一方で、IL-21mRNAの発現とより強い相関を認めた(r=0.730,p<0.0001)。臨床病理学的因子との検討において、脈管浸潤陽性群、リンパ節転移陽性群においてIL-17mRNAは高発現であった。また、深達度、stageの進行に伴ってIL-17mRNAの発現は有意に高発現であった。腫瘍局所でのIL-17mRNAの高発現群は低発現群に比べ有意にリンパ節転移の頻度が高かった(p<0.05)。IL-17mRNA高発現群ではCD34陽性T細胞および好中球浸潤数が低発現群より高かった(p<.005)。【考察・結語】腫瘍局所でのIL-17の発現を抑制することで腫瘍の増大、進展を制御できる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)