2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織における炎症反応制御を目的とした新しい分子標的免疫療法の開発
Project/Area Number |
19591493
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩橋 誠 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (70244738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10322372)
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80364090)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30398458)
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Keywords | 胃癌 / IL-17 / IL-21 / 炎症 / 血管新生 / 癌浸潤 |
Research Abstract |
【目的】本研究はヒト癌組織において、IL-21により誘導されるIL-17を中心とする炎症反応と免疫応答との関連を検討し、その制御を行うことにより進行消化器癌の癌免疫療法の有効性を高めることを目的とした。【対象と方法】胃癌82症例を対象に腫瘍組織よりTotal RNAを抽出した。IL-17 mRNA,IL-21 mRNAの発現をreal-time RT-PCR法により定量した。病理組織標本においてCD34陽性細胞数、好中球浸潤数を画像解析ソフトにて定量的に評価した。抗CD4抗体,抗IL-17抗体を用い蛍光色素抗体法にて免疫組織化学染色を行った。腫瘍組織標本および正常胃粘膜標本において抗IL-21抗体,抗IL-17抗体を用いて免疫組織化学染色を行った.【結果】腫瘍局所におけるIL-17 mRNAの発現はIL-21mRNAの発現と強い相関を認めた(r=0.730,p<0.0001)。stageの進行に伴ってIL-17 mRNAの発現は有意に高発現であった。IL-17 mRNA高発現群ではCD34陽性細胞および好中球浸潤数が低発現群より高かった(p<.005)。IL-17およびIL-21産生細胞の分布は正常胃粘膜においては主に粘膜固有層に存在するリンパ球にわずかに認めるのに対し,腫瘍組織においては癌細胞周囲の間質に浸潤する多数のリンパ球にそれらの陽性像を認めた。腫瘍に浸潤するCD4陽性リンパ球に一致してIL-17の陽性像を認めた。【考察・結語】胃癌腫瘍局所に浸潤するCD4陽性T細胞であるTh17のIL-17産生の増加により好中球浸潤を伴う慢性炎症,および新生血管の増生を惹起することにより腫瘍局所での増殖,進展を促進することが示唆された.胃癌腫瘍局所におけるIL-21の発現を抑制することで,IL-17による腫瘍の増殖,進展を制御できる可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)