2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌における癌細胞-間葉細胞間の相互作用機構の解明と新規抗腫瘍療法の開発
Project/Area Number |
19591503
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉富 秀幸 Chiba University, 医学部・附属病院, 助教 (60375631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
大塚 将之 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (90334185)
三橋 登 千葉大学, フロンティアメディカル工学研究開発センター, 准教授 (80400985)
須田 浩介 千葉大学, 医学部・附属病院, 助教 (50400908)
高野 重紹 千葉大学, 医学部・附属病院, 助教 (20436380)
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Keywords | 消化器癌 / 膵臓癌 / FGF10 / FGFR2 / 間質細胞 / 細胞浸潤能 / 細胞遊走能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、癌細胞と間葉系細胞の間の相互作用が癌の進展にどのように関わっているか、分子生物学的手法を用いて検討し、新しい治療法の開発に役立てることである。 本研究にては、特に膵臓癌における癌細胞と間葉系細胞の相互作用に注目した。その中でも、特にFibroblast growth factor(FGF)-10とその受容体であるFGF-Receptor(FGFR)2に注目した。FGF10は膵臓の初期発生段階で原腸細胞から膵芽細胞が分化する際に、原腸細胞周囲の間質細胞が発現しており、このシグナルを受けてFGFR2を発現する膵芽細胞が増殖することが知られている。このような現象が癌組織においても認められるのではないかと考え、膵癌組織における両分子の発現を免疫染色により検討した。すると、膵癌細胞はFGFR2を発現しており、また、その周囲間質に散在性にFGF10を発現する間葉系細胞が存在することを解明した。加えて、膵癌細胞のFGFR2の発現が強度の症例ではその予後が不良であることを見出した。そこで、膵癌細胞株を用い、その分子メカニズムの解明を目指した。FGF10を、FGFR2発現膵癌細胞株培養液中に添加すると、細胞増殖能には変化を認めなかったが、細胞遊走能、浸潤能が誘導された。加えて、FGF10の添加により、膵癌細胞株はTranforming growth factor(TGF)-βの分泌が亢進していることが判明した。このことから、間質細胞が発現するFGF10が膵癌細胞株にparacrineに作用し、TGF-βの発現を介して細胞の遊走、浸潤能を誘導し、これが膵癌の悪性化の一助をになっていると考えられた。このような機構を阻害することで、新しい膵癌の治療法が開発される可能性があると考えられた。
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Research Products
(4 results)