2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍免疫誘導におけるリンパ系樹状細胞活性化の意義に関する研究
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19591508
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有廣 光司 Hiroshima University, 病院, 准教授 (70232064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 茂 広島大学, 病院, 講師 (00403527)
田邊 和照 広島大学, 病院, 講師 (40379847)
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Keywords | Autophagy / 治療抵抗性 / 乳癌 / 術前化学療法 / LC3 / GATE-16 / PI-3K |
Research Abstract |
術前化学療法によるヒト乳癌の腫瘍縮小効果と治療抵抗性を評価するため、autophagyに注目して乳癌細胞の質的変化を客観的に検討することを試みた。本学外科で術前化学療法を施行された56例を対象として免疫組織化学的染色を行なった。症例の内訳は組織学的治療効果判定Grade0:5例、Grade1:24例、Grade2:16例、Grade3:11例であった。一般的にGrade2とGrade3では予後が異なるが、この中で変性した乳癌細胞の評価によってGrade2とGrade3の評価が分かれることが大きな問題である。このため化学療法による細胞内恒常性の破綻のため蓄積する不要な蛋白質の分解に先立ってautophagosomeの形成に必須なLC3,GABA受容体関連蛋白質、Golgi-associated ATPase enhancer(GATE-16)またAtg3, Atg4B, Atg7, Atg16Lなどの因子の発現を検討した。その結果、Grade2と判定した16例中4例にLC3、 GATE-16、 Atg4B、 Atg7、 Atg16Lの発現を認めた。胞体内に空胞変性を伴い核の膨化を示す高度の変性像と判定した乳癌細胞でもautophagyにより生存の可能性があることが示されたが、今回対象とした56例では未だ再発例や遠隔転移を伴う死亡例はなく、無病再発や生存を指標とした評価は困難である。今後は乳癌学会班研究の一環として更に大きな症例群を対象に検討を継続する。なお、未成熟・成熟樹状細胞(pDC, mDC)の発現をCDla、 CDllc、 CD123、 CD80、 CD83、 CD86をマーカーとして検討したが、これらを発現する細胞は殆どなく、pDC, mDCの関与を検討するためには化学療法開始後4週間後あるいは8週間後の生検標本を用いるべきであろうと考えた。一方、乳癌細胞のLapatinibに対する抵抗性はPhosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome10(PTEN)/phosphatidylinositol-3kinase(PI-3K)の高値と相関することが報告されているが、これらの因子はautophagyを促進することも知られており、治療抵抗性におけるautophagyの関与を示唆する可能性がある。今後はPTENやPI-3Kの発現も検討する予定である。
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Research Products
(10 results)