2008 Fiscal Year Annual Research Report
転写モジュレーターによる乳癌内分泌療法の効果増強に関する研究
Project/Area Number |
19591513
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩瀬 弘敬 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40211065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 豊 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20398217)
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Keywords | 乳癌 / 転写共役因子 / HDAC1 / HDAC6 / AIB1 / ER遺伝子 |
Research Abstract |
乳癌は代表的なホルモン依存性腫瘍であり、様々な内分泌療法が行われている。乳癌組織内ではAIB1(SRC3)、 HDAC1、 HDAC6、 NcoR1などの転写共役因子の発現がホルモン依存性増殖と関連がある。我々はこれら転写共役因子やそれらの阻害剤を含めた“転写モジュレーター"が内分泌療法の効果増強あるいは耐性の克服として重要であると着目し、それらの相乗効果について研究を進めている。 1.乳癌組織における転写共役因子の発現:ホルモン療法の効果が判明している乳癌臨床例において初回手術癌細胞における転写共役因子の発現をRT-PCRあるいは免疫染色法にて半定量化し、これらの臨床的重要性について検討した。NCoR1についてはヒト乳癌組織を使用し、mRNAおよび蛋白レベルでの発現を検討し、抗エストロゲン剤の反応性が高い症例ではNCoR1の発現が高いことを証明した。しかしながら、同じような転写共役因子であるAIB1では逆に高発現例で抗エストロゲン剤の効果が明らかでないことを明らかとした。同様に、 HDAC6、 HDCA1が重要であることが判明した。 2.非浸潤性乳管癌における浸潤へのマーカーとESR1遺伝子、 ATBF1A遺伝子の関与:上記実験系の副産物として、非浸潤性乳管癌が浸潤する過程でsurvivinのようなanti-apoptosisの関与や、 ESR1遺伝子の増幅が関与することが判明した。また、新しい乳癌の癌抑制遺伝子であるATBF1の機能喪失には遺伝子変異よりもメチレーションやヘテロ接合性の消失の関与が考えられ、今後の新しいマーカーとなる可能性が得られた。
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Research Products
(5 results)