2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591519
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 裕子 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (40148432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10319543)
森本 純司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90145889)
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Keywords | マウス移植乳癌 / リンパ管再生 / Vescular endothelial growth factor C(VEGF-C) / リンパ行性転移 / リンパ節 / LYVE-1 / CD44 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
本研究は転移性の異なる二種類のマウス乳癌細胞を用いて、腫瘍におけるリンパ管の再生と腫瘍細胞のリンパ行性転移の機序を明らかにすることを目的とする。BJMC338とBJMC3879乳癌細胞株についてVEGF-C、CD44の発現を確認した後、それぞれ雌性BALB/cマウス鼠径部皮下に移植し経時的に屠殺、摘出した腫瘍、リンパ節・肺を検討した。VEGF-C・CD44の発現はBJMC338細胞で弱く、BJMC3879細胞で中程度の発現を認めた。移植8週後、BJMC338移植マウスではリンパ節・肺に転移は認められなかったが、BJMC3879移植マウスではすべてのマウスで肺・リンパ節に転移を認めた。移植腫瘍においてもVEGF-CはBJMC3879腫瘍で強かった。リンパ管はBJMC338腫瘍では常にBJMC3879腫瘍より有意に少なかった。一方、BJMC3879腫瘍ではリンパ管は2週より認められ、8週で最大数となり10週まで持続していた。リンパ管内皮前駆細胞は両腫瘍中に存在し、BJMC3879腫瘍で多い傾向を示した。また、CD44陽性細胞はBJMC338腫瘍では散在性に認められた。一方、BJMC3879腫瘍ではすべての腫瘍細胞が強く発現していた。BJMC338腫瘍のリンパ節ではLYVE-1,CD44,ヒアルロン酸の発現は弱かった。BJMC3879腫瘍ではリンパ節が肥大しており、リンパ洞にはCD44陽性の細胞が充満し、かつLYVE-1陽性のリンパ洞が多数認められた。BJMC3879腫瘍ではVEGF-Cをより強く発現しているためにリンパ管内皮前駆細胞からリンパ管再生が亢進しておりリンパ行性転移の一因になると考えられた。また、腫瘍細胞は自らが発現するヒアルロン酸レセプター(CD44)を用いて組織内のヒアルロン酸がリンパ管に吸収されていくに伴い、リンパ管に侵入し、リンパ節へと転移することが示唆された。
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Research Products
(5 results)