2008 Fiscal Year Annual Research Report
siRNAとデコイベクターによるリンパ管新生因子機能喪失と乳癌リンパ節転移阻止
Project/Area Number |
19591520
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
柴田 雅朗 Osaka Medical College, 医学部, 准教授 (10319543)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 純司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90145889)
|
Keywords | VEGF-D / VEGF-C / siRNA / VEGFR-2 / 乳癌 / 転移 / 抗腫瘍効果 / リンパ管新生 |
Research Abstract |
目的:リンパ管新生因子のVEGF-Cや-Dが乳癌のリンパ節転移に対して促進的に作用し、また血管新生因子のVEGF-Aも腫瘍増殖や転移と密接な関係があることが報告されている。また、これらの因子はVEGF受容体2(VEGFR2)のリガンドである。そこでこれらの機能を低下させることで乳癌転移に対する治療を試みた。方法および結果:BJMC3879Luc2乳癌細胞をBALB/cマウス雌に移植し、週1回、腫瘍内にベクター(Control, VEGF-C siRNA、VEGFR2デコイおよび両者の複合、VEGF-D siRNA)を遺伝子導入し、実験終了の7週まで実施した。その結果、腫瘍体積では実験開始の3ないし4週より6週までVEGF-C siRNA群、VEGF-C siRNAとVEGFR2デコイとの複合群およびVEGF-D siRNA群で、対照群に比較して、有意な低下が観察された。リンパ節転移および肺転移では、VEGF-C siRNA群のみに有意な抑制が示され、複合群では低下傾向のみを認めた。1匹当たりの転移臓器の総数でみた場合においても、同様の抑制傾向が示された。腫瘍内微小血管密度はVEGF-C siRNA群と複合群で有意な抑制を示した。腫瘍組織のリンパ管内へ頻繁に癌細胞が浸潤しており、これら侵襲を受けたリンパ管の数を定量解析した結果、これらの群で有意差は示されなかったものの、抑制傾向が示された。考察:VEGF-C siRNA発現ベクターは、乳癌のリンパ節や肺転移に対して、強い抑制効果を発揮した。VEGF-D siRNAやVEGFR2デコイには本実験系において有意な転移抑制効果は示されなかった。また、VEGF-C siRNAとVEGFR2デコイの複合群において観察された抗腫瘍効果はVEGF-C siRNAに起因するもので、VEGFR2デコイを複合することによる加算的効果も示されなかった。
|
Research Products
(4 results)