2007 Fiscal Year Annual Research Report
経産による乳癌抑制に関わる乳腺間質の役割とその分子基盤の解明
Project/Area Number |
19591521
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
螺良 愛郎 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (90098137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 洋一郎 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60219409)
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 講師 (30368211)
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
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Keywords | MNU / Lewis rat / Mammary / Estrogen / Progesterone / Stroma / Fatty acid |
Research Abstract |
若齢妊娠による乳癌の抑制はラットにおけるMNU誘発乳癌モデルにおいても認められ、妊娠期のホルモン環境を模倣するエストロゲンとプロゲステロン(E/P)の短期(3週;妊娠期間に相応)暴露によっても再現される。我々はE/Pの暴露期間が20週を越えた長期では乳癌抑制が消失することを見出したが、高齢でのE/P暴露はヒトと同じく乳癌を増悪し、かつ生じた乳癌はホルモン非依存性で組織学的にも悪性のものが多いことが判明した。乳癌抑制の機序解析を行ったところ、網羅的遺伝子解析ではラットの経産乳腺は分化関連遺伝子群の高発現と増殖関連遺伝子群の低発現がみられ、とりわけ経産乳腺では発癌刺激に対する細胞増殖の不応答性が特徴的であった。乳腺上皮は脂肪細胞や線維芽細胞といった間質細胞や細胞外基質(ECM)のなかで育まれていることにより、これらの性状の変化が上皮に影響をおよぼす可能性がある。そこで、若年妊娠モデルとして4週齢にて50mg/kg・MNUを処置した雌Lewisラットを6週齢にて3週間有効な0.5mgE/32.5mgP含有徐放性ペレット埋没ラットと非埋没ラットを13週齢にて屠殺して腰部乳腺を摘出して脂肪酸組成を比較した。ラット乳腺脂肪織には飽和脂肪酸であるバルミチン酸(16:0)、1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸(18:1)やn-6系多価不飽和脂肪酸であるリノール酸(18:2)が多量に含まれており、そのうち経産乳腺では乳癌発生と正の相関をみるリノール酸組成の減少をみた。既報によると経腺乳腺ではn-3/n-6比の上昇をみるとする報告をみるが、今8の検討では乳癌発生と逆相関をみるn-3系多価不飽和脂肪酸量の増加はなくn-3/n-6比の差はみなかった。いずれにせよ、経産・未経産ラットにおいて乳腺脂肪酸組成に差をみたことは乳腺間質は乳腺上皮癌化に影響をおよぼす可能性があることが判明した。
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