2008 Fiscal Year Annual Research Report
経産による乳癌抑制に関わる乳腺間質の役割とその分子基盤の解明
Project/Area Number |
19591521
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
螺良 愛郎 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (90098137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 洋一郎 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60219409)
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 講師 (30368211)
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
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Keywords | MNU / Lewis rat / Mammary / Estrogen / Progesterone / Stroma / Fatty acid |
Research Abstract |
若齢妊娠による乳癌の抑制はラットにおけるMNU誘発乳癌モデルにおいても認められ、妊娠期のホルモン環境を模倣するエストロゲンとプロゲステロン(E/P)の短期(3週;妊娠期間に相応)暴露によっても再現される。乳腺上皮は脂肪細胞や線維芽細胞といった間質細胞や細胞外基質(ECM)のなかで育まれていることにより、これらの性状の変化が上皮に影響をおよぼす可能性がある。そこで、4週齢にて50mg/kg・MNUを処置した雌Lewisラットを6週齢にて3週間有効な0.5mgE/32.5mg P含有徐放性ペレット埋没ラットと非埋没ラットの乳癌発生率を比較するとともに1群4匹のラットを13週齢にて屠殺して腰部乳腺を摘出して脂肪酸組成を比較した。E/P処置によりE/P処置群の≧1cm乳癌発生率は非処置群に比して有意に減少した(74%,20/47対96%,26/47)。但し、乳癌発生までの期間あるいはラット当りの乳癌個数には差はみなかった。乳腺脂肪織の脂肪酸組成について無処置対照乳腺も加えて比較すると、リノール酸組成はMNU処置E/P暴露乳腺ではE/P非暴露乳腺に比して85.1%(34.03/39.97)、無処置対照乳腺に比して88.0%(34.03/38.65)と有意に減少をみた。なお、n-6/n-3比は、(リノール酸+アラキドン酸)/(イコサペタンエン酸+ドコサペタンエン酸+ドコサヘキサエン酸)で算出すると、MNU処置E/P暴露乳腺、E/P非暴露乳腺、無処置対照乳腺では各の10.90±0.15, 10.87±0.19, 10.04±1.26となり、有意差はみなかった。E/P処置はリノール酸を介して乳癌の発生/増殖の制御に関与している可能性がある。
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