2007 Fiscal Year Annual Research Report
未産・経産ラット乳腺のDNAメチル化状態の網羅的比較による乳癌予防標的の検索
Project/Area Number |
19591522
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松岡 洋一郎 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (60219409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 講師 (30368211)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / ゲノム / 病理学 |
Research Abstract |
本邦における近年の乳癌罹患有数の急激な増加に鑑み、有効な乳癌一次予防法の確立は医療費抑制の観点からも緊急かつ重要な課題である。MacMahonら(1970)による広範な疫学研究によると、初回満期妊娠が若年齢であると乳癌発症を減少させ、20歳未満で満期妊娠を経験した女性は、未産婦に比して乳癌の発症は1/2である。経産(妊娠と出産)による乳癌の抑制は最も生理的かつ強力な一次予防効果であり、ゆえに、その標的(遺伝子とその産物)ならびに分子基盤を解明することは未産婦へも応用し得る生理的かつ安全な乳癌予防法の確立に必須である。本年度は9週Lewisラット10匹を自家維持同系雄ラットと交配し、経産群を作製した。妊娠(3週)、授乳(3週)後、完全な乳腺退縮のためさらに6週維持飼育した後、21週齢にて全個体屠殺を完了した。未産・経産ラット(各群10匹)をN-methy1-N-nitrosourea(50mg/kg体重)発癌刺激7日後に屠殺し、乳管上皮の増殖活性をBrdU取り込み率にて比較すると、未産個体3.6±1.4%、経産個体1.3±0.4%と経度個体で細胞増殖が有意に抑制されていた。これと相関して、経産乳腺でのMyc抑制因子Mntの発現上昇、Mnt-ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC1)複合体形成の促進がそれぞれイムノブロット法、免疫沈降法により認められた。また両乳腺間でのヒストンアセチル化パターンの差異がイムノブロット法により検出された。以上の結果から、経産による乳腺発癌抑割にはヒストンアセチル化機構を介する細胞増殖関連遺伝子群の発現修飾が関与するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)