2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる大腸癌に対する分子標的治療のテーラーメイド化
Project/Area Number |
19591535
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大村 健二 Kanazawa University, 附属病院, 講師 (30194301)
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Keywords | 大腸癌 / プロテオミクス / 分子標的治療 / テーラーメイド / バイオマーカー |
Research Abstract |
《研究開始当初の背景、意義》悪性腫瘍に対する治療として分子標的治療薬が臨床の現場にて使用されるようになると、1:治療効果の期待できる患者を事前に選択できない、2:治療効果をモニターするサロゲートマーカーがない、3:長期治療により治療耐性が生じる、などの克服すべき問題が生じてきた。《研究実験計画》1および2:大腸がん細胞株を移植したマウスに分子標的治療を行い、血清を用いてマススペクトラムおよび2次元電気泳動により蛋白発現解析を行う。治療効果と相関するスペクトラムパターンや蛋白発現の変化を検出する。3:分子標的治療薬に対して感受性のある大腸癌細胞株から耐性を獲得したクローンを樹立し、耐性を獲得する前後での蛋白質の発現の差異をディファレンシャルディスプレイ法で比較、同定する。《研究成果》1および2:治療開早期、中期、後期において血清蛋白マススペクトラムおよび蛋白発現レベルに変化がみられるた。変化は、治療の進行に伴い経時的に増加するもの、減少するものもしくは中期にのみ増減するものに分かれた。腫瘍の大きさは、開始早期には減少、中期には不変、後期には増大がみられた。現在、これら蛋白質の同定を試みている。実際にはマススペクトラムで得られた分子量を指標にゲルろ過による候補蛋白の分離精製を行っている。2次元電気泳動で見られた蛋白質スポットについてはLC-MS/MSによりアミノ酸シーケンスを行い、蛋白質データーベース検索から候補蛋白を見出した。今後Western Blot法による確認が必要であるが、候補蛋白の中に抗体が市販されていないものもあり、すべての候補蛋白の確認は困難と思われる。3:大腸癌細胞株から耐性を獲得したサブクローンを試みてきたが、培養液中の薬剤濃度を上げていくだけでは、十分な薬剤耐性能が得られなかった。現在、薬剤の変更、多剤併用により再度培養を行っている。
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