2008 Fiscal Year Annual Research Report
下咽頭・頸部食道癌における音声再建術後の音声,嚥下機能の評価
Project/Area Number |
19591538
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
神谷 欣志 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 助教 (20324361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00138033)
太田 学 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40397394)
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Keywords | 下咽頭癌 / 頚部食道癌 / 音声再建術 / 嚥下機能 / 音声機能 |
Research Abstract |
下咽頭頚部食道癌に対する外科的治療では,解剖学的理由により根治性を確保するためには喉頭摘出を余儀なくされる場合がほとんどであり,その場合患者の術後QOLが問題となる。我々は遊離回盲部移植法(Kawahara 1992)による音声再建手術を2003年より導入し,これまで18名の患者に施行してきた。本研究では,遊離回盲部移植術後の音声機能と嚥下機能を客観的に評価することにより,遊離回盲部移植術の有用性の根拠を示すことを目的とした。 術後6〜39ヶ月の患者を対象に,主にVideofluorographyによる嚥下機能評価とアンケートによる音声機能評価を行った。遊離回盲部移植法では,シャント内への造影剤の逆流は認めず,また従来の遊離空腸移植法に比較して,造影剤のグラフト内逆流が少なく,グラフト通過時間が短い傾向にあった。術後6ヶ月以降の嚥下機能は,吻合口径や再建臓器の走行に起因する咽頭内圧と再建消化管内圧との圧格差や,再建臓器の蠕動運動などが関与している可能性があり,遊離回盲部再建はこの点で有利である可能性が示唆された。また,Videofluorographyの評価結果に基づいた嚥下リハビリテーションを積極にに導入し,良好な結果を得た.術後音声機能は88.9%で獲得可能であったものの,得られた音声機能には症例により差が認められ,日常生活で積極的に音声機能を使用しているのは30.8%にとどまった。本術式では,遊離空腸移植法に比較して気管孔狭窄の発生率が有意に高く,術後の音声機能の使用に影響を与えている一因となる可能性が考えられた。 遊離回盲部移植法は,良好な嚥下機能と音声機能を獲得できる有用な術式であるが,術後QOLの更なる向上のためには,再建された音声,嚥下機能の質をさらに高めていくことが必要である。今回得た結果を基に,今後は機能向上を目指した術式の改良,新規術式の開発を目指していく。
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