2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌においてNOTCHシグナルの果たす役割の多様性
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19591540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊丹 淳 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (40362511)
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Keywords | 大腸癌 / シグナル伝達 / 間質細胞 |
Research Abstract |
膜タンパクNotchは隣接した細胞の膜結合タンパクであるリガンドからの刺激により、胎生期や初期発生において細胞の分化・増殖・生存に係る因子である。幹細胞の維持、細胞の分化選択の運命決定、分化促進がその主な役割である。本研究の目的は、Notch pathwayの癌とのかかわりであるが、特に癌間質細胞による癌の分化誘導に関する関与を調べることが本研究の課題である。【結果】消化器癌の間質細胞を初代培養すると、形態的に2種の間質細胞が存在することが観察される。以前に当研究室で報告した間質マーカーpodoplaninによって2種が区別されることが示唆された。株化されたマウス間質細胞OP9をFACSを用いてpodoplanin+細胞とpodoplanin-細胞に分離培養した。これら細胞株のみでは、ヌードマウスへの移植性はない。しかし、大腸癌細胞株HCT116とpodoplanin-細胞とを同時に移植すると、HCT116のみより腫瘍の増大が誘導された。一方で、HCT116とpodplanin+細胞を移植した場合は、HCT116の腫瘍の増大を抑制することがわかった。大腸癌細胞の多くが、Notch1を発現しており、そのリガンドについて、podoplanin+およびpodoplanin-細胞におけるすべてのNotchリガンドの発現を比較した。結果、Delta-like4の発現がpodoplanin-で亢進していることがわかった。【この研究の意義】Notchの働きの多様性が、癌細胞と間質細胞の相互作用によるものである可能性が示唆された。特に、Delta-like4という特定のリガンドの作用が同定されたことによって、今後創薬の可能性が開けた。
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