2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591554
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
萩原 明郎 Doshisha University, 生命医科学部, 教授 (90198648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達雄 京都大学, 再生医療研究所, 准教授 (70227908)
阪倉 長平 京都府立医科大学, 医学研究所, 講師 (10285257)
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Keywords | 再生医学 / 消化管再生 / 羊膜 |
Research Abstract |
【目的と研究内容の概要】瘢痕を形成しておらず従って瘢痕による収縮や閉塞が無く、瘢痕による壁硬化を起しておらず従って柔軟な壁を持ち蠕動運動を行う、このような消化管を、犬を用いて再生することを目的とした。通常の体内での組織再生修復(創傷治癒)は必ず炎症反応→瘢痕形成の過程を経過するので、瘢痕形成は避けることは出来ない。この問題を解決する方法として羊膜の特殊性に着目した。すなわち、羊膜を再生の足場に用いれば、あたかも胎児における組織(臓器)発生と同じように、組織(臓器)の再生修復が瘢痕を形成せずに起こると考えられる。つまり羊膜を腸管再生の足場として用い、これに自己細胞を植え付けて体内で消化管を再生させる方法である。 【研究の具体的方法】ビーグル犬を用いた。羊膜を再生の足場の主材料とした腸管再生の複合足場を作成し、一方自己口腔粘膜層から粘膜上皮と粘膜内Myofibroblastを分離して培養した。腸管再生の足場の羊膜層の上にこの粘膜上皮細胞とMyofibroblastを播種して原型腸管とし、1回目の手術でこの原型腸管を腹腔内に数週間置いて壁組織の成熟と血管化(大網を利用)をなさしめ、次に第2回目の手術で再生腸管を自己の腸管と吻合して消化管再生を行った。腸管の瘢痕形成と蠕動運動の状態を、レントゲン造影ビデオ検査を行うとともに、経時的に犬を犠牲死させて再生腸管を摘出し、狭窄状態の有無と再生状態や瘢痕の有無につき病理組織学的検討を行った。 【研究の結果と意義】1年以上にわたって瘢痕や癒着を生ぜず、蠕動運動を持ち、内容物運搬機能を有する消化管が再生された。この結果、今までは実現されなかった全周性消化管を再生することが可能となり、消化器内科や消化器外科の分野で、消化管再生による治療の可能に一歩近づく結果が得られた。
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Research Products
(3 results)