2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規ピロリジン誘導体による肝細胞癌の肝内転移抑制に関する研究
Project/Area Number |
19591578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐子 堯 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 助教 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (60114641)
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 教授 (00266371)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝内転移 / 化学療法 / ピロリジン誘導体 / 治療 |
Research Abstract |
本研究では、癌細胞の浸潤や転移において重要な役割をもつマトリクス・メタロプロテイナーゼ(MMP)の活性を阻害することが可能な新規ピロリジン誘導体を合成し、その有効性を検討することを目的とした。これまでの研究の結果、多数の化合物種を有するライブラリから有用性が示唆される化合物をスクリーニングした。また、培養細胞を用いたin vitro解析では、スクリーニングした化合物の中の一種が、癌細胞から分泌されたMMPの活性を阻害するとともに、癌細胞の浸潤作用を抑制することを明らかにした。マウスを用いたin vivo解析では、移植した癌により形成される腫瘍結節の数が、前述の新規合成化合物を投与したマウスで有意に低下したことから、当該化合物が癌細胞の浸潤作用を抑制することにより制癌作用をもつことが明らかとなった。 さらに、本研究の結果を基にして、化合物ライブラリの構築へのフィードバックを行った。現在までに、前述のMMPと同様に癌細胞の浸潤や転移への関連性が示唆されている新たなターゲットに対するピロリジン誘導体の効果の検討が行われてきた。その結果、数種類の候補化合物が選定されており、今後はこの化合物に対して上記のような解析によって有効性の評価を行うことで、より有用性の高い化合物の作製を試みる。そして、当該化合物が与える生理学的影響を分子レベルで明らかにすることを目的に、種々の生化学的手法を用いた解析を行う。
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