2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規ピロリジン誘導体による肝細胞癌の肝内転移抑制に関する研究
Project/Area Number |
19591578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐子 尭 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 教授 (00266371)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝内転移 / 化学療法 / ピロリジン誘導体 / 治療 |
Research Abstract |
本研究では、癌細胞の浸潤や転移において重要な役割をもつマトリクス・メタロプロテイナーゼ(MMP)の活性を阻害することが可能な新規ピロリジン誘導体を合成し、その有効性を検討することを目的とした。研究代表者らと共に山東大学「中・日新薬スクリーニングセンター」を設立した研究協力者によって、本研究計画において多くの種類の新規ピロリジン誘導体が合成され、有効な化合物のスクリーニングが実施された。その結果、合成された新規ピロリジン誘導体の一種であるLY52が、他の細胞に毒性を示すことなく、乳癌細胞MDA-MB-231の増殖を有意に阻害することを見出した。また、当該化合物は、化合物設計時の想定どおり、ターゲットとするMMP-2の酵素活性を有意に阻害した。さらに、癌培養細胞株を用いたin vitro解析により、当該化合物が癌細胞の浸潤を有意に阻害することが明らかとなった。また、癌を移植したモデルマウスを用いたin vivo実験では、当該化合物の経口投与により肺に形成される腫瘍結節数が有意に減少した。以上のことから、新規ピロリジン誘導体LY52は、癌細胞の増殖のほか、間質組織への浸潤及び他の臓器への転移を阻害することができ、抗癌効果をもつ化合物として有効であることが示唆された。 一方、本研究計画では、抗癌効果をもつことが明らかとなった化合物の構造に基づいて、その結果を化合物設計にフィードバックさせて更なる新規化合物の設計及び化合物ライブラリの拡大を図ってきた。現在、MMPのように癌の進行に重要なタンパク質分解酵素をターゲットとして設計した新規化合物群を有するライブラリが構築された。従って、本研究計画による成果は、今後のタンパク質分解酵素をターゲットとした創薬研究に対して大きく貢献することができたと考えている。
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Research Products
(7 results)