2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全下における肝切除後肝再生のメカニズムについて
Project/Area Number |
19591582
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西尾 秀樹 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30345897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80378091)
安部 哲也 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90378092)
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Keywords | セロトニン / エストロゲン |
Research Abstract |
血小板由来のセロトニンが新たな肝再生因子として報告され,門脈圧亢進や脾機能亢進による血小板減少症を有する患者の肝切除術後肝不全対策への臨床応用が期待されている.一方,生活習慣病の増加に伴い慢性腎不全,透析導入患者は年々増加し,そのような患者のC型肝炎,肝細胞癌の有病率は高く,肝切除術を受ける機会が増加してきている.セロトニン(serotonin, 5-hydroxytryptamine, 5-HT)はモノアミン神経伝達物質で視床下部や大脳基底核,延髄の縫線核などに高濃度に分布しているトリプタミン誘導体の一種であり,主に神経系の分野で研究されているが,最近,肝再生に血小板由来のセトロニンが関与していると報告され(Lesurtel M et a1, Science, 2006),肝再生因子の新たな発見として注目されている. 新たな肝再生因子として報告されているセロトニンの有用性を見る為に卵巣摘出術後の門脈枝結紮モデルを用いた.そのモデルに肝再生を促進するエストロゲンを投与したところ,エストロゲンを投与した群で,有意に肝再生が促進していた.肝臓にあるセロトニン受容体である5-HT2AをRT-PCRで評価したところ,エストロゲンを投与した群で有意に高値を示した.小腸におけるセロトニン合成酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼもエストロゲンを投与した群で有意に高値を示した.セロトニン5-HT2受容体拮抗薬であるKentaserinを投与することによって,エストロゲンを投与した群の肝再生は低下した.よってエストロゲン投与によりセロトニンを介して,肝再生が促進していると確認できた. 今後ラットの慢性腎不全モデルを実際に用いて肝再生におけるセロトニンの有用性を確認したい.
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