Research Abstract |
先天性胆道拡張症(CBD)群8名,対照群7名(遊走胆嚢,後腹膜神経芽腫,Wilms腫瘍,I型糖原病,familial amyloid polyneuropathy)の計15名(男:女=3:12,平均年齢8.0±標準偏差10.7歳,range生後3か月-41歳)から胆嚢を摘出した。胆嚢のwhole-mount標本を作成し,胆嚢壁内神経を抗protein gene product9.5抗体,抗neurofilament抗体を用いて免疫染色により描出した。両群において神経線維の方向には規則性は認められず,分枝した枝が他の神経線維と立体交差する箇所が幾つか観察された。胆嚢壁の血管分布はCBD群5.5±1.9/cm^2,対照群27.6±14.4/cm^2で,CBD群において有意に減少していた。胆嚢壁内の血管表面に血管周囲神経叢が描出された割合はCBD群37.7±18.1%,対照群80.2±17.4%で,CBD群において有意な低下が認められた。頚部,体部,底部の各部位において,神経節細胞の数は頚部15.4±9.4,体部11.2±7.7,底部11.6±8.2で,各部位間に有意差は認められなかった。神経節細胞数についてはCBD群,対照群で各々38.5±24.0,42.3±20.6であり有意差は認められなかった。CBDにおいては血管分布の減少に伴う壁内の血流低下によって,胆管や胆嚢の収縮不全と拡張をきたす機序が考えられ,これに対して血管周囲神経叢を減少させて壁内動脈の収縮を抑制し,血流不足を代償する機構が作用していることが推察された。
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