2007 Fiscal Year Annual Research Report
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19591594
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 晋之 Kumamoto University, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80419639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20240905)
廣田 昌彦 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (80284769)
高森 啓史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (90363514)
船越 顕博 九州がんセンター, 消化器内科, 医長 (80112340)
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Keywords | ORP5 / コレステロール / 膵癌 |
Research Abstract |
ハムスターの実験膵癌の高転移株特異的に発現する分子(ORP5)を単離し、これが膵癌の浸潤転移に関わる可能性が示唆された。ヒト膵癌細胞株でもORP5の発現は検討した5種類中4種類に認められ、同様に抑制、導入によって浸潤能に違いが出ることが確認できた。平成19年9月に同分子の抗体が発売となり、これを購入。ヒト正常組織を免疫染色したところ、脾臓、膵臓の一部、脳のプルキンエ細胞に発現が認められ、さらに、肝臓では非常に強く染まった。膵癌切除症例56例を免疫染色し、臨床病理学的因子と検討したところ、ORP5陽性群ではmedian survivalが有意に短く、1年生存率も有意に悪かった。また、ORP5陽性例では高率に主膵管への浸潤が認められ、in vitroでの検討を裏付ける結果となった。しかし、肝臓で非常に強く、しかも全体的に発現しているため、この分子を直接の標的とした治療は困難であることが予想された。そこで、この分子のメカニズムを解析すべく、ORP5が強く発現しているヒト膵癌細胞株を使用し、siRNAで抑制した場合と、ORP5がほとんど発現していない細胞株にORP5を導入したときのmRNAの発現の違いをcDNA microarrayで検討。HDAC5、TGF beta1に発現の違いが認められた。また、ORP5が肝臓で強く発現していること、oxyxterolと関連があるはずの分子であることから、コレステロール合成経路との関わりがあると考え、ORP5の抑制、導入のサンプルを使用し、SREBP2,HMG-CoA reductaseの発現をmRNAレベルで検討したところ、ORP5の抑制でSREBP2,HMG-CoARの発現が減少し、ORP5の導入で発現が上昇した。これは、ORP5がoxyxterolの機能を抑制することでコレステロール合成経路を制御している可能性が高いことを示唆するものである。
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