2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591594
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 晋之 Kumamoto University, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80419639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20240905)
広田 昌彦 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80284769)
高森 啓史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (90363514)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / シグナル伝達 / 分子標的治療 / ORP5 / コレステロール / 膵癌 |
Research Abstract |
ORP5を抑制するとSREBP2が抑制され、ORP5を強発現するとSREBP2の発現量が増加することから、 ORP5はコレステロール合成経路を制御していることが示唆された。また、 HDAC5のプロモーター領域にSREの配列が認められ、 ChIPの結果、 HDAC5がSREBP2の直接下流であることが判明。さらに、この経路が最終的に癌抑制遺伝子PTENの発現を制御していることがRT-PCR, Westernによって確認された。これらの結果より、ORP5を発現している膵癌細胞はコレステロール合成経路が常に活性化しており、これがHDAC5の発現を制御、次いでPTENの発現をも制御することで浸潤、転移に関わっていると考えられた。これにより、高コレステロール血症治療薬であるスタチンが膵癌の浸潤抑制効果を持つ理由が解明された。事実、ORP5を強発現している膵癌細胞株にスタチンを投与したところ、dose dependentに浸潤能が抑制され、 ORP5の発現が弱い膵癌細胞株では低濃度のスタチンでも強い浸潤抑制が観られた。そして、ORP5をほとんど発現していない膵癌細胞株では5μMのスタチン投与まで浸潤に影響がなかった。 ORP5がコレステロール合成経路に強く関連しており、正常では肝臓で強く発現していることから、この分子を治療の直接のターゲットにすることは危険である。そこで、上記結果から、スタチンとHDAC inhibitorの併用による治療を考案。これらは同じ経路の別な箇所で作用するため、治療の相乗効果が期待できると考え、現在研究を継続中である。
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Research Products
(3 results)