2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌過程における組織炎症恒久化因子の同定と制御に関する基礎的・臨床的検討
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19591595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上野 真一 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40322317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 孝 鹿児島大学, 理事 (60117471)
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (30284897)
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
迫田 雅彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 特任助教 (40418851)
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Keywords | RAGE / HMGB1 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
人肝ならびに肝癌組織を用いて以下のことを見出した. 1)定量的RT-PCRにより,正常肝臓,肝炎組織,肝硬変組織と肝障害度が進行するに従って,HMGB1/RAGEの発現が増強した.これは炎症・組織壊死によりHMGB1が分泌され,そのレセプターが組織内で発現亢進するという説に合致した. 2)肝癌においてはさらにそれらの発現が増強し,肝炎や肝硬変に対しても有意差を認めた.RAGE発現が肝臓の癌化ならびにその進展に関与することが確かめられた. 3)しかしながら,肝癌がwell, modeからpoorly differentiatedと脱分化し進行するに従って,逆にRAGE発現は低下した.これらはRT-PCRのみでなく40例以上の免疫染色でも確認された.これらの機序について,in vitro assayを行い,RAGEの発現は細胞の低酸素(虚血)抵抗性に関与することが示唆された.すなわちRAGEを発現する肝癌cell lineは,陰性のものに比し,低酸素下で長時間生存した.またRAGE transfect Cos 7はmpck transfect Cos 7よりも低酸素抵抗性であった.これらの結果から,RAGEは肝癌発生に関与するとともに,癌発生初期の組織低酸素状態に打ち勝っための作用を増強しているのではないかということが推測された.現在,RAGE発現の有無によるアポトーシス関連蛋白の差異に関する検討を進めており,またRAGE K/0マウスを用いて発癌の差異も検討中である.
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