2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌過程における組織炎症恒久化因子の同定と制御に関する基礎的・臨床的検討
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19591595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上野 真一 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (40322317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 孝 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60117471)
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 客員研究員 (30284897)
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
迫田 雅彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40418851)
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Keywords | RAGE / 炎症と癌化 / 肝癌 / 食道癌 / ケモカイン |
Research Abstract |
"癌と炎症"の関係を考える時、総論的には2つの概念:1)癌を生み出す炎症と2)癌が生み出す炎症の存在が考えられる。1)に関しては、臨床的事実からも明らかである。すなわち、組織炎症を惹起する四塩化炭素や肝炎ウイルスにより肝癌が発生し、またヘリコバクター・ピロリによる胃炎から胃癌が発生する。一方、2)に関して、癌は、その進展に伴い、自身がケモカインや血管増殖因子などの炎症性mediatorをautocline的に分泌することで1つの炎症状態を惹起し、それにより浸潤・転移しやすい環境を形成する可能性が高い。申請者らのグループも,一貫して"炎症と発癌ならびに癌の進展"という命題に取り組んできており、(基盤研究(B)H14-H17(課題番号14370359)代表,基盤研究(C)H19-H21(課題番号19591595)代表)の中で、1)2)に付随したさまざまなメカニズムとそのコントロールに関して、多くの知見を得てきた。 とくに今回のH19-21においては、慢性炎症遷延化に強く関与するHMGB1とそのレセプターRAGE系の研究を進め,(1)肝臓の慢性炎症進展とともに組織HMGB1の発現が増強し、さらにRAGE発現の増強も認めること.RAGE発現は,発癌から癌進展に伴う低酸素下環境での癌細胞耐性に関与する可能性を見出した。また(2)RAGE発現が食道癌の成立過程でも増強することを見出したが、これとは逆に、270症例の食道癌の検討からは,その発現程度は進行癌への段階で多くが消失し、予後と逆相関する知見が得られた。このRAGE減弱と予後の逆相関は、肝癌、膵癌でも確かめられた。 またRAGE発現細胞の抗アポトーシス作用を確認した。
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