Research Abstract |
肝硬変ラットに対し,DMN最終投与後4日目に開腹して,肝硬変を肉眼的に評価後,切除予定肝葉を支配する門脈枝を遮断し,AdOSM,AdLacZ,及びPBSを門脈本幹に注入.5分間血流遮断を継続した後に開放して閉腹.門脈投与後4日目に70%肝切除を施行,術後4日目に屠殺し,各群における手術後の肝機能改善効果並びに肝再生効果を検討した. (結果)1.70%肝切除後の生存成績では術後4日目に屠殺するまでに生存したAdOSM群7例,PBS群6例,AdLacZ群5例を検討対象症例とした.肉眼的所見では,OSM投与群では他群と比較して肝表面は比較的平滑で肝の萎縮も軽度であった.体重はAdLacZ群が230±6g,PBS群が282±32gに対し,AdOSM群は301±41gで(p=0.004vs AdLacZ)残肝重量はAdLacZ群が2.5±0.6g,PBS群が4.6±1.5gに対しAdOSM群は6.9±2.0gで,(p=0.041vs PBS,p<0.001vs AdLacZ)ともにAdOSM群で増加傾向が見られた. 2.線維化に関しては,Image analysisによる線維化定量(%)では,AdOSM群で21.3±4.6,AdLacZ群で35.2±4.5,PBS群で31.5±5.2とOSM群で線維化の改善が認められた(p=0.020vs AdLacZ). (結論)1.OSM導入により,現在まで報告のある急性肝障害に対する効果のみならず,肝硬変モデルにおいても肝機能や背景肝の線維化の改善が認められることを明らかにした. 2.肝硬変モデルに対する70%肝切除においても,OSM導入により肝機能,および背景肝の線維化の改善を初めて明らかにした.
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