2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化により制御される大腸癌肝転移を規定する遺伝子の網羅的解析
Project/Area Number |
19591607
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐野 力 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 研究員 (60303632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 豊 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (00419897)
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Keywords | 肝転移 / DNAメチル化 / エピジェネティクス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
DNAメチル化は、遺伝子の発現抑制を介してがんの発生・進展に関与している。本研究は大腸がんの肝転移に関わる遺伝子のうち、特にDNAメチル化により制御される遺伝子の網羅的解析を行ない、大腸がんの肝転移に関与する遺伝子の同定と、新しい肝転移診断マーカーの開発を目指す。我々の研究グループは、DNAメチル化標的遺伝子の解析法として、プロモーターアレーを用いた効果的な方法(Methylated CpG island Amplification-マイクロアレー法;MCAM法)を確立している。本年度はこの方法を用いて大腸がん原発巣と肝転移巣のDNAメチル化標的遺伝子のプロファイリングを解析した。愛知県がんセンター中央病院で施行した大腸がん、肝転移の外科的手術検体のうちで、同一患者から得られた大腸がん原発巣と肝転移巣の組織からDNAを抽出した。なお検体はヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会審査委員会において承認された説明書・同意書を用いて集積された患者サンプルを用いて解析を行なった。MCAM法を用いて解析を行なった結果、メチル化標的遺伝子は、肝転移巣(484遺伝子)に比して大腸がん原発巣(1018遺伝子)で多く観察された。そのうち408遺伝子は両病巣に共通してメチル化標的遺伝子として検出された。76遺伝子は肝転移巣特異的に検出され、これらの遺伝子群のメチル化が大腸がんの肝転移に深く関与している可能性が示唆された。新たに4名の患者から大腸がん原発巣と肝転移巣の組織が得られており、来年度はこれらの患者において同様に解析を行ない、共通して肝転移巣に特異的なメチル化標的遺伝子を同定する。そらに年齢・性別を一致させた30症例の大腸がん原発巣と30症例の転移巣よりDNAを抽出し、肝転移巣に特異的なメチル化標的遺伝子の解析を行なう。以上の結果と臨床病理学的背景との相関から、大腸がんの肝転移に関与する遺伝子の同定と、新しい肝転移診断マーカーの開発に結びつける。
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