Research Abstract |
1)神経刺激部位の同定 本研究の第一目的は,心臓周囲の副交感神経ファイバーの刺激により徐脈を誘発することであり,豚による動物実験の結果,右上肺静脈,上大静脈の合流部辺緑の心外膜脂肪組織を電気刺激により,ほぼ心停止に近い1-3bpmの超徐脈が誘発されることを突き止めた。心拍動は刺激により心停止の状態となるが,刺激停止とともに直ちに心拍動を再開した。 2)至適刺激頻度の決定 電気刺激装置(BC-05を使用し上記で得られた部位にて誘発テストを繰り返した結果,上記の部位で周波数25Hz,出力10V,パルス幅2msの刺激により,心停止が再現性をもって誘発が可能であった。また使用した刺激プローベは双極で,電極間2mmの自作したものを使用した。刺激テストを反復する過程で,周波数を10Hz以下に下げると,同部位の刺激により心房細動が誘発され,非常に興味深い結果となった。現時点では,左胸部小切開にて,上記の誘発試験が可能となり,最大で10分間刺激にて心停止とし,刺激を中止した時点で,心拍は刺激前状態に速やかに復し,心機能の低下(血圧,心拍出量)は認めなかった。 これに引き続き,今年度は,最大30分間,安全な電気刺激心停止法を確立するために,刺激心停止後,心拍再開時の心機能評価を行い,SPYシステム,心酸素飽和度測定から,心筋酸素代謝の状態を連続的にモニタリングする予定である。この方法が確立されれば,新しい心筋保護法,心臓手術が導入できることとなると考えられる。
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